日本で流通しているLIBOR参照のドル債に対する対応が遅れている

感染拡大への対応からLIBOR改革が遅れるという期待は少なくなり、急ピッチで準備を進めなければならないというのがようやく業界の認識になりつつある。とは言え、欧米に比べると日本の動きは鈍く、ドルなど他通貨の動きを見ながら動けばよいという雰囲気が漂っている気がしてならない。

確かに、新レートへのConversionなどは他通貨の事例を参考にしながら動けるのかもしれないが、日本の市場参加者が持っているドルのポジションや、ドルで発行した社債等の対応は、USD LIBORについてものもなので、米国と同じタイミングで進めなければならないはずである。にもかかわらず、最近発行されたドル債はLIBOR参照のものばかりであり、これをSOFRにするというニュースはアジアでは皆無に等しい。

投資家の方も普通にLIBOR参照の社債の購入を続けているように思える。LIBOR廃止に対応するには、社債権者集会を開催し、すべての社債保有者からの同意を取って、フォールバック条項を加えておかなければならないのだが、あまりこうした動きが進んでいるようには見えない。

これを行わず、いきなりLIBORがなくなったら、その時のレートで固定クーポンに変わってしまうということが起きかねない。日本に入ってくる情報が少ないから仕方がないのかもしれないが、社債を発行している会社はすぐにでも動かないと間に合わなくなるのではないだろうか。