CCPのリスク管理に関する提案ペーパー

JP Morgan、BlackRock等が共同でCCPのリスクについてのペーパーを公表した。銀行やバイサイド自ら規制強化を訴えるのは珍しいことだが、今回はCCPに対するリスク管理の強化と規制強化を求めるものとなっている。

JPは以前も2度ほど似たようなペーパーを出しており、この分野については強い意見を持っているようだ。

確かに銀行の資本がこれだけ増強されたことを考えると、次にシステミックリスクが発生しうるのはToo big to failであるCCPということになるのかもしれない。

ざっと読む限り特に目新しい主張はない様に思えるが、主に以下のような提案をしている。

– 当初証拠金モデルに流動性リスクと集中リスクを加味し、ストレス時にも十分な証拠金を確保する

– カバー2(2社のデフォルトをカバー)の清算基金(Default Fund)をストレス時に確保できるようにする

– CCPの負担金(Skin in the game)を増やすと同時にWaterfall上2段階で拠出できるようにする

– 効果的なDMP(デフォルトマネジメントプロセス)の導入

– 流動性のある商品に限定し、ストレス時にもポジション清算ができるようにする

– CCPが自主的に資本を増やすことができるようにする

– 限定的にVMGH(変動証拠金の勝ち分をあきらめる)とPartial Tearupを利用

その他クロスボーダーの危機対応グループを作ったり、ディスクロージャーの強化等の主張も含まれているが、概ねこれまで各国CCPの委員会等で議論されている内容になっている。実際のこのペーパーが当局の行動を変えたりすることは少ないが、各参加者がそれぞれのCCPの委員会でこの方向に沿った意見を出すことが予想されるため、内容的には把握しておいた方が良いかもしれない。

基本的には当初証拠金を増やし、CCPの拠出を増やすという方向なので、さらに資金がCCPに溜っていく方向であり、流動性という意味では引き締めの方向になる。

CCPは人の取引を仲介しているのであって自らリスクを取りに行っている訳ではないというCCPサイドの主張は最もであるが、ここまでリスクが集中してくると、やはり何らかのセーフティイーネットは必要なのだろう。

本来はマーケットインフラといっても良いものなので、当局の介入を前提とすればここまで担保等を増やす必要はないのかもしれないが、モラルハザードの観点から当局の介入を前提とした仕組みにしておくのは厳しいということなのだろう。

ただ、おそらくCCPが破たんするような事態になれな、何等かの介入が入るような気がするのだが。。。