CVA RISK FRAMEWORKに関する変更

BISからCVA資本賦課の2017年案に対する修正提案が出されたので、概要を簡単にまとめてみる。これは2019年1月に出された修正案に対する市場参加者からのコメントを反映させたものとなる。ISDA、GFMA等から出された2月の意見書の内容がかなり反映されているようだ。

ざっと読んでみた感想だが、全般的に以下のような影響があるように見える。おそらくあまりに厳しすぎるという意見が多かったのだろう。かなりの規制緩和になる可能性がある。

  • 全般的なCVA所要資本の削減
  • CCPでのクリアリングへの移行促進
  • BA-CVAよりSA-CVAに対するインセンティブ強化

リスクウェイトの削減
SA-CVAに関しては次の削減が行われている。
– 金利リスク 30%削減
– 通貨リスク 50%削減
– 信用スプレッドリスク 3%→2%へと削減
– ベガリスク 100%上限の設定
BA-CVAに関しては、ハイイールド債、無格付のソブリン債に対するリスクウェイトが3%から2%へと引き下げられている。

New index bucketsの導入とCVA資本の合算方法の修正
所要資本を求めるにあたって、一定の条件のもとで、インデックスを構成する参照資産の一つ一つのデータを使うのではなく、新たなIndex Bucketsを使うことにを可能にしている。そして異なるリスク資産の所要資本を合計する際の手法も変更しているが、こちらも資本賦課削減に寄与するように読める。これらはSA-CVAにかかる修正である。

CVA資本の対象範囲の修正
リスクのそれほど大きくないSFT(レポやストックローン等の証券金融取引)と一定のクライアントクリアリングポジションが適用除外となる。また、CCPで清算された取引のMOPR (Margin Period of Risk、担保が入ってこない可能性のある日数分のリスクを考慮するもの)のフロアも引き下げられるようだ。これによってクリアリングする取引の所要資本が引き下げられるとともに、クライアントクリアリングビジネスの資本対比の収益性が向上することになる。

SA-CVAとBA-CVAの所要資本調整
資本規制においては、完全に捕捉できないリスクを考慮するために、通常アルファと呼ばれる掛け目をかけることがあるが、おそらくこの調整をしているのだと思う。SA-CVAの掛け目であるmCVAが1.25から1に引き下げられ、BA-CVAにも同様の掛け目である0.65(DS BA-CVA)が導入された。どうやらBA-CVAよりもSA-CVAを適用した方が所要資本をさらに少なくする変更のようで、SA-CVA適用のインセンティブを上げるもののように思える。