ターム物SOFRは主流にならない

インターバンクのターム物SOFRの取引が制限されていることに対する不満の声が大きくなっているが、3/8にFRBの高官から、ターム物SOFRの利用を広く認めることは未来永劫認めないだろうとのコメントがあった。あくまでも限定的な利用に止めるべきであり、これが変わることは考えにくいとのことだ。

当初は今年くらいには利用が広がるだろうと思っていたのだが、この感じだと本当にターム物金利の利用拡大は難しそうだ。LIBORの二の舞を踏んではならないというのはもっともなのだが、不正リスクは限りなく低くなっているように思うのだが、しかたないのだろう。

日本ではターム物金利であるTORFに対して、このようなコメントが聞かれることは少なく、むしろ拡大を期待する声すらある。ただし、顧客ニーズはそれほど大きくないので、あまり問題になることはなさそうだ。

インターバンク市場での取引が制限される以上ヘッジが難しくなるため、ヘッジコストは高くなるだろう。マーケットにストレスがかかればターム物と後決めSOFRのベーシスが大きく動き、大きな損失が発生する可能性もある。ディーラーとしてはその利用に慎重にならざるを得ない。リスクリミットも限定的なサイズになる。レベル3資産になり、資本コストがかさむという問題もある。

LIBOR改革後のEuriborの行方

円にTONAとTIBORがあるように、EURにもEuriborとESTRがある。お欧州では当初金利スワップはEuriborが主流で、ESTRへのシフトは限定的であった。ただし、通貨スワップではESTRがメインで使われるようになったため、金利指標が分断されてしまった。

ただし、USDLIBORの公表停止を控えて、ESTRの取引も増えてきたようだ。TradeWebの統計では、ESTRのシェアは14%から23%と過去1年で10%近く増えている。しかも、比較的長期のスワップが増えている。当初は短期のスワップにしか使われないのではないかと思われていたが、意外と長期も健闘している。

マーケットでもいつかはすべてESTRに移行するだろうという声が多いものの、それが直ちに起きると考えている訳ではなさそうだ。あるコンサル会社のアンケートによると2025年末くらいという意見が多いとのことなので、後3年弱はこのままということになる。

当局からも移行を促す声は出ておらず、当然Euriborの管理をしているEMMIは長期的に使われることを想定している。一応信用リスクを含んだCredit Sensitive Rateなので、地銀等からは一定のニーズがあるのではないかという意見もある。

Euriborも一応不正が起きないような改革が行われており、以前のように、銀行から提示されたレートから決めるのではなく、極力実取引に基づく指標にしようという努力はなされ、BMR(欧州ベンチマーク規制)の要件を満たしている。ただし、いかんせん取引量が少なく、本当に不正の余地がないのか定かではない。パネル行もピーク時の半分程度に減ってしまっている。実取引の最低サイズの引き下げも行われ、計算に使える取引を増やそうという試みもあったが、1日平均にすると35取引、金額にして€350mm程度しかない。

以前はよくFixingリスクが話題になり、突然トレーディング損失が発生することがあったが、LIBOR改革後はこれがなくなった。TIBORやEuriborでは今でもこれが発生する。Euribor vs ESTRベーシスリスクなどもあるので、リスク管理者としては一つに統一してもらった棒がシンプルだ。まずは流動性の低い1か月物や1年物から始め、徐々に移行していくのが望ましいように思う。

リアルマネーなども徐々にESTRに移行しているようであり、年金や保険の割引率に使われる金利がESTRになる日もそう遠くない気がする。当然Euriborを使い続けたいという市場参加者も相当数いることから、移行が簡単に進むとは考えていないが、マーケットの透明性を高め、流動性を上げるためには金利指標を統一するのは極めて重要な課題だと思う。

CSのAT1全損がもたらす市場インパクト

CSが発行した、AT1(その他Tier1債)である170億ドルを当局が無価値化したことを受け、AT1債市場に対する投資家の評価が根本から変わりつつある。従来のウォーターフォールを崩す形で株式よりも一応債券に分類されるAT1債が先に毀損した今回のケースは市場でも驚きをもって受け止められている。

確かに常識で考えればおかしい話かもしれないが、債券のタームシートをみれば当局に裁量があると書かれているので、こうした事が起きる可能性があるということは認識ができたはずだ(それが実際に起きることを予見できたかどうかは別問題ではあるが)。

先月出版されたカウンターパーティーリスクマネジメント第3版のP454にも「社債投資を行う際は、どの銀行の社債かということのほかに、どこのエンティティーが発行しているか、またその発行した国の法制では、どの順番で債務が毀損していくかを分析する必要がある。」そして、「実際にベイルインのプロセスはその場になってみないと確定しないことも多く、そのリスクを正しく見積もるのは極めて困難である。」と書かれている。今回発生したのはまさにこれに該当する。おそらく多くの投資家は、大銀行にしては金利が高いという理由で、詳細な分析をすることなく投資をしていたのではないかと思われる。

AT 1 の場合は、以下の2つのトリガーがある。

  • NVE(Non-Viability Event)トリガー

これは、企業がゴーイングコンサーンとして継続運営されるために、外部からの資本注入を要する場合にトリガーされるもので、当局の裁量で決められる。

  • CET1 トリガー

ティア1自己資本比率が一定のレベル以下になったらトリガーされる。

そして、これらのトリガーにヒットすると、社債が全損扱いとなるか、株式転換される。CSの場合は、ティア1比率が7%を下回るか、当局がNVEトリガーを認定すれば全損扱いとできることになっていた。これはスイス特有のもので、英国やEU当局からは、これはスイス特有のもので、AT1が株式より先に毀損することはないとコメントしている。米国からはまだ何のアナウンスメントもないが、先程紹介したカウンターパーティーリスクマネジメント第三版にも書かれている通り、持株会社が最初に毀損する形なので、同様の問題は発生しない。

ここへ来て、多くのアナリストが各国の法制を分析した上でAT1のリスクの再評価をしようという試みがみられる。一般的には日本を含むアジアではCSのようなリスクは少なそうだ。特に日本ではメガバンクのAT1にCSのようなウォーターフォールの逆転が起きる可能性は極めて低いように見える。損失を被った投資家からは訴訟の話も出ているが、あそこまでしっかりと契約に明記されていると、どのような論理で争うのか、興味深いところである。

中堅銀行に対する規制強化が始まる

次の金融危機は、規制強化の影響をもろに受けた大手銀行以外のところから起きると、このブログで何度か書いてきたが、もともとはシャドーバンキングのようなところを想定していた。SBBのような中堅銀行からこのような損失が出るとは、予想できなかったが、やはり銀行と言うのは、いちど危機が起きると不安の連鎖が起き、ついにはCSのような大規模銀行にも影響が及んでしまう。

冷静に数字だけを見れば、CSには十分な流動性バッファがあるように見えるのだが、ここまで世間の疑心暗鬼が重なってくると、資金流出が加速して、危機に陥らないとも限らない。これが金融機関経営の難しいところである。

中堅銀行に対しては、2017年から18年ごろに総資産$250bnに満たない銀行持ち株会社と$75bnを下回るノンバンクに対して、一部の資本、流動性規制やストレステストの要件緩和が行われた。SVBは$200bnを少し上回るくらいなので、この緩和の恩恵を受けていたものと思われる。

当然のことながら、こうした中小銀行に対する規制強化が声高に叫ばれている。また、総資産$700bn超の銀行に対しては、TLACを含む流動性規制がかけられているが、当初はこの閾値を$250bnまで下げるという話も出ていたが、これだとSVBのような規模の銀行をカバーできないことから、直近の報道では$100bnから$250bnの銀行ちも広げられると思われる。 LCRについても同様に対象銀行が広がる可能性が高い。このような規制強化は金融市場にどのような変化をもたらすのだろうか。

預金保険対象外の部分については、最低預入期間を設けたり、定期預金を増やそうとインセンティブが働く。途中解約のペナルティーなども上がっていくだろう。ファンディング、コストや資本コストが上がるため、銀行の収益性に関してはネガティブである。ただし大手銀行はすでにこのような規制の影響受けているので、インパクトは限定的だ。と言うよりは、中小銀行から預金が移ってくる可能性もあるので、大手銀行にとってはプラスの影響すらあるかもしれない。

こうした規制コストに対応できない銀行が出てくる可能性もあり、銀行の統廃合がさらに加速する可能性もある。

いずれにしてもToo Big to Failをターゲットにしていたこれまでの規制は、大きく方針変更せざるをえなくなり、今後の焦点は中小銀行にもフォーカスが当たっていることになろう。

米国債の流動性に注目が集まる

久しぶりに臨戦体制となった1週間だった。リーマンショックの初期と似たような雰囲気にも思えたが、マーケット変動は当時に比べても拡大してるように思えた。

特に取引流動性の枯渇が著しい。最も流動性があると思われていた米国債ですら、かなり乱高下し、取引スプレッドが上昇し、取引にかかる時間も長くなった。これがスワップやオプション取引にも波及している。

ICEのボラティリティーインデックスなどを見ても、コロナショック初期の変動を超えている。実は米国債の流動性問題が、各種資産やデリバティブ取引の変動を拡大させ、危機を増幅してるのかもしれない。ここまでの変動はかつてなかったと言う声も多く、ヘッジファンドが損失を被っていると言う報道も多い。スワップのb/oが4倍になったと言う報道もあった。ショートポジションをとっていたCTAの損失拡大も報じられている。

ここから更なる規制強化が予想されるが、それが流動性低下を加速される危険性もあるのではないか。実はこちらの方がリスクという気もする。規制強化により米国際取引から撤退をする投資家や銀行が増えると、市場流動性はさらに低下するだろう。それが金融全体にとって良いのかどうかよくわからないところである。

会計方針が銀行の命運を決める

マーケットは、SVB(シリコンバレーバンク)の話で持ち切りだ。規制強化によって銀行破綻は起きないものと思っていたが、思わぬ騒ぎが銀行株の急落を招いている。とは言っても同じことは世界中で起きており、各国の生保、各国の地銀や中堅銀行など、金利上昇によって保有債券価値が極端に下がっているところは極めて多い。単に財務諸表上で未実現損失を抱えているだけなら持ちこたえられるところを、預金引き出しやマージンコールが起きると保有資産の売却を余儀なくされ、危機が現実化する。

コロナショック後の過去3年くらいの間に金利が低下し、多くの預金が集まってきたが、それを全額貸し出しに回せず、相当な資金が債券投資に向かった。FDICの統計によると、米国では2020年頃から4.2兆ドルもの資金が預金として集められたが、そのうち貸し出しに回ったのはたった10%程度とのことである。残りのうち約2兆ドルが債券投資に振り向けられている。以前は全体の債券投資額が4兆ドルだったことを考えると約50%増となったことになる。

結果的にその後の金利上昇により、これらの投資はマーケットのピークでエントリーしたことになり、損失額は0.6兆ドルと見込まれている。同時期にJPMなどは0.7兆ドルの預金を増やしたが、債券投資は0.2兆ドル程度しか増えていない。しかし、バンカメなどは増えた預金がほとんど債券投資に回っているようなので、銀行によってかなりばらつきがあるようだ。

日本の銀行にも外債投資からの損失報道があったことから、同じようなことはグローバルで起きている。しかし、債券の場合、これを時価評価するかどうかにすべてがかかってくる。昨年末に台湾の生保が債務超過に陥っているという報道があった。その後当局が会計手法の変更を認め、時価評価が免除され、債務超過を免れた。一部のリスクマネジャーからはいんちきだと言われたが、債券の場合、最後まで持ち切れればパーで償還される。特にリスクが高い債券ばかりが保有されていた訳ではなく、米国債や高格付の社債が多かった。確かに時価損失は出ていたものの、それで台湾の生保をデフォルトさせる意味はあまりない。金融危機時に、日本ではCVAを時価評価していなかったために損失が出なかったのと似ている。

株式やハイイールド債、仕組債などには確かにリスクがあるが、米国債のような資産を多く保有していても、今回のような経営危機が起きてしまう。確かに銀行であればもう少しきちんとしたリスク管理をしておくべきだったが、同じような状況にありながら会計方針が異なるために難を免れているところも多いものと思われる。CVAの時もそうだったが、つくづく会計というのは重要である。

また、保有債券を売らなければならない事象が発生する場合にも注意が必要だ。銀行でいうと預金引き出し、生保や年金などのリアルマネーでいうとマージンコールだろうが、これはデリバティブ取引をしているときに限られる。今回のケースをリーマンショックになぞらえる意見も出ているが、銀行全体というよりは、一部の銀行に限られた動きになるものと思われる。

LIBOR改革総仕上げ

USDLIBORの公表停止の6月末がが近づいてきた。2021年12月に円金利スワップで行ったようなConversion手続きの準備が佳境を迎えている。今回は米国が中心なので、外資系の場合は米国チームが中心になって作業を進めてくれているが、日本の市場参加者は日本で陣頭指揮を執っているのだろう。

JSCCやLCHで行ったような取引の変換作業は、一部別日程に分けるものもあるが、メインはCMEが4月の22-23日の週末、LCHが5月の20-21の週末となる。他の通貨はほぼ1から2週間差だったと記憶しているので、1か月の間隔は長いように思えるが、おそらく件数が膨大になり作業に不安を抱えた市場参加者の希望もあったのだろう。

一か月間はCMEではSOFRスワップ、LCHではLIBORスワップが残る形になる。リスク管理者としては、どのようにレポートされるか頭の痛い問題である。この間の資本計算、各種当局報告、リスクリミットの使用状況など、臨機応変な対応が求められる。

作業自体はCMEのドライランも終わり、他の通貨で経験を積んでいるので、滞りなく行われることが予想される。CMEが約4.5兆ドル、LCHが$70超ドル程度と報じられていたが、自発的な変換や満期を迎える取引もあるだろうから、実際の件数はもう少し少なくなる。それでも英ボンドの金利スワップの時の3倍を超える量になる。

変換といってもLIBORスワップがSOFRスワップに変換されるだけではなく、実際は短期のLIBORスタブをカバーするスワップとメインのSOFRスワップに分かれる。時価調整のためにスワップを作るケースもあるので、一つの取引が2つ乃至3つに分かれることになる。この辺りはこれまでの経験とユーザーの要望により若干方式を変えているようである。確かにいきなりUSDの変換だと混乱が生じていたかもしれないが、ポンドや円の変換作業の経験があるので、何となく安心感が漂っている。

あとはターム物SOFRや先物など、BSBYなどのクレジットセンシティブレートなど、今後のドル金利市場がどのように変化していくかに注目が集まる。円についてもTFXとOSEの二つの先物が上場されるが、TORFの使用、TIBOR改革と今後の動向にも注意が必要だ。いずれにしても、思ったよりスムーズにLIBOR移行が進んだのは、当局や市場参加者の努力の賜物だろう。

国際金融都市を目指す各国の市場改革

アジア各国の市場開放が急速に進みつつあり、世界の資金を巡る競争が激しくなっている。中国では、デリバティブ取引についてネッティングが認められ、Swap Connectのパブコメなどが海外投資家の注目を集めている。ロシアのような轍を踏まなければ、中国が世界においてもかなりの影響力を持つ市場に成長していくことは間違いない。これまではオンショア・オフショアの市場分断があったが、矢継ぎ早の市場開放策によって海外投資家がオンショア市場にアクセスする方法が確立しつつある。

韓国でも為替市場の取引時間拡大が予定されており、ドルで決済するNDFからのシフトが予想される。利便性向上によってKRWのプレゼンスも上がってくるだろう。RFIと言われる登録金融機関に対しては、インターバンク市場における為替取引も解放される予定だ。これにより、アセマネなどがオンショアのKRWの為替市場にアクセスしやすくなり、KRW資産への投資が増える可能性がある。NDF市場においてはKRWが最大のシェアを占めていることから、意外と影響は大きくなるかもしれない。これらの改革はMSCIのグローバルインデックスに加わる、また韓国国債がFTSEのWorld Government Indexに加わるという韓国当局の長年の悲願を後押しするだろう。

これらの市場開放策が施行されるのは来年になる見込みだが、各国ともグローバルな金融市場における地位向上に躍起になっている。特にNDFについては、国のコントロールが効かないところでマーケットが混乱する可能性も捨てきれないので、なるべくオンショアの市場を開放した方が良いというのは明らかだろう。マレーシアやインドなどその他のアジア各国でもこうした市場開放策が矢継ぎ早に検討されている。

日本においても金融庁が世界に開かれた国際金融センターの実現について各種努力を続けており、投資家の誘致、手続きの簡素化、英語によるサポート、税制の整備等で成果を上げつつある。海外の動きをみていると、今後は、アジア各国のように市場の活性化策も加え、日本の金融都市としての地位向上を進めることが重要になってくるだろう。海外当局と話をしていると、もと金融機関勤務経験を持つ担当者が多く、内容もかなり専門的になっている。日本でも一部嘱託、期間業務職員の募集を通じて専門的知識を活かそうという動きがあるが、海外の回転ドア的な人材交流が活発化すれば、日本の金融行政の高度化に資することになるだろう。

ターム物SOFR問題

ARRCがTerm SOFRの利用はローンや債券などのヘッジに限るべしというガイドラインを出してから、業界としてはこれを守ろうという姿勢を続けてきた。しかし、マーケットに歪みが生まれ始めるとともに、顧客ニーズも急速に高まってきた。

もともとは、LIBORの二の舞にならないよう、流動性を後決めSOFRに集中させようということで、後決めSOFRよりも、それを参照するTerm SOFRの取引量が先行して増えないようにとの配慮からのガイドラインだった。そのため銀行間でのヘッジを抑制し、Direct Hedging of Cash Contractにその利用を制限してきた。一応アセマネなどバイサイドには解放されたが、インターバンクでヘッジができないとどうしても使い勝手に劣る。

マーケットでヘッジできないため、コストをチャージせざるを得ないが、当然マーケットリスクリミットもあるため、無尽蔵に取引ができる訳ではない。顧客からのリクエストに応えることができなくなってきているマーケットメーカーが多くなっているものと推測される。一方コンプライアンス違反を恐れる市場参加者は、そもそもどのような取引なら認められるのかで意見が分かれることがあり、日本を含むアジアでも混乱が起きているようだ。本当にローンや債券のヘッジなのかどうやって確認するのか、何か証拠の提出を求めるべきなのかといった懸念はつきない。

もうここまでの取引量になればあまりインターバンク取引を禁じる効果も少ないように思える。しかも、金融危機後の規制強化や罰金罰則により、銀行のコンプライアンス意識は以前とは比べ物にならない程に高まっている。確かに未だにSpoofingやインサイダー取引などに手を染めるトレーダーはいるかもしれないが、Term SOFR取引をやってしまえという大手市場参加者はほとんどいないと思われる。もしTerm物が増えすぎて問題になるようだったら、ガイダンスを一つ出せば雰囲気は一気に変わるだろう。だが、1月にARRCのSOFRタスクフォースが解禁を見送ったことから、Term物の利用が直ちに認められる気配は見えない。

ターム物と後決めSOFRのスプレッドに巨大な変動が起きたりしてマーケットが混乱するまでは、このままの状態が続くのかもしれないが、結局コストを払っているのは最終投資家のように思える。ここまで問題になるのだったらターム物を作らない方が良かったのかもしれない。欧州ではターム物がなくてもそれほど問題になっておらず、日本でもTORFがそれほど使われている訳ではない。後決め金利も、いざやってみるとそれほど大きな混乱もなく受け入れられている。今からTerm物をなくすというのも選択肢なのかもしれないが、さすがにベンチマークを作ってしまった側からすると後戻りはできないのだろう。