7/13に英国政府が進めるホールセール金融市場のトークン化についての1次報告書が公表された。トークン化資産の発行のみならず、取引、担保利用、決済まで、広範囲にわたる内容となっている。デジタル国債であるDIGITを来年第一四半期までに試験発行することも目標としており、かなりのスピード感で物事が進んでいる印象を受ける。単なる国債発行のみならず、DIGITのレポ取引も視野に入っている。
プラットフォームの提供業者にはHSBCが選定されているが、複数のプロジェクトが乱立するのを防ぐため、ロンドン証取のDSD(Digital Securities Depository)との相互接続が可能になっており、最終的にロンドン証取において上場する見込みとなっている。政府が直接ブロックチェーン上で国債を発行するというのは、先進国では最も踏み込んだ形で、国家主導で進められている点が興味深い。
他にも様々な実証実験が行われているが、いずれも概念設計の段階で、参加者の雰囲気としても、何かやっていないと遅れているとみなされるのでとりあえずやってみているというものが多い。しかし、今回のレポートの内容を見る限り、英国のデジタル国債プロジェクトは、単なる実証実験から、本番稼働へとフェーズが移行した感がある。英国中銀と規制当局であるFCAが運営してきたデジタル証券サンドボックス(DSS)の画期的な成果と言えよう。ほかにもスイスでは、中銀のデジタルマネーと連動した公的債券の決済インフラが既に本番稼働しており、実績という意味では最も進んでいると言える。
一方米国では、財務省には慎重姿勢がみられるものの、民間レベルではかなりの動きがみられる。特にBlackRockのBUIDLは、預かり資産が36億ドルを超える規模に成長しており、トークン化国債の市場規模は急速に拡大している。しかし、あくまでも政府がデジタル国債の発行を行わないという点で英国とは若干異なるスタンスを取っている。今月には米財務省と英財務省の共同タスクフォースが、トークン化された金融商品を両国間で動かせるようにするための協調プランを発表している。
日本でも今年中の商用化に向けて、Progmatが立ち上げた日本国債のトークン化プロジェクトが進んでいる。日銀ネットとどこまで同期させるかという点が非常に興味深い。日銀ネットが優れているがゆえに、最終的な記帳は日銀ネットというのが、ある意味ネックになっているような気もする。しかし、他国がここまで急速に動いていることを考えると、日本でもある程度規制や法制度に踏み込んだ改革が行われるのではないだろうか。