LIBORから新レートへの一括変換

一部では、ドルLIBORのLIBOR消滅の延期のニュースを誤解してとらえている向きもあるようだが、これはあくまでも移行が困難な古いレガシー取引に対する措置であって、新規取引は予定通り新レートで行われなければならない。したがって、移行作業を止めてよいというわけでは全くない。

また、5年間の中央値でスプレッドを決める時点も18か月遅延と誤解されることもあるが、これも12月のISDAのWebinarでFCAのSchooling Latter氏からコメントがあったように、すべてのLIBORベンチマークのスプレッド計算が一度に起きる可能性が高い。

ここでも何度かコメントしたように、ドル円通貨スワップにおいて、円Legだけ最初にスプレッドが決まり、その後にドルLegの調整が二段階で決まるのは面倒でしかない。

また、これに関してCCPにおけるレート変更がいつ起きるかという点についても意見が分かれている。LCHの意見募集が一般公開されていないため、ここでは紹介できなかったが、CMEの市中協議は内容を見ることができる。ここでは、市場参加者からLCHと同様の一括変換の検討依頼があったと書かれているが、CCP間で扱いが異なると対応が難しくなるので、当然の成り行きだろう。となると結局JSCCも追随するだろうから、すべてがLCHのやり方に収斂していく可能性が高い。

CMEの意見募集は以下の5点となっている。

  1. 他の市場、他のCCPとの平仄
  2. 一括変換のタイミング
  3. 固定レート、クーポンの計算期間、支払い日の扱い
  4. ヘッジ会計及び税金上の扱い
  5. 一括変換後に行使されたスワップションによってできたスワップの扱い

2のタイミングについては、やはりドルだけ遅らせるというのは手間なので、すべて同時にやってしまった方が望ましいと思う。3については、既に決まっているクーポンはそれを使う方法と、そのクーポンも置き換える方法の2種類があるが、CCP間で扱いが異なるように思える。トレーダーにとっては、後決めなのだから全て置き換える方が良いように思えるのだが、バックオフィスの人にとっては、既に決まったレートを変更するというのは抵抗があるのかもしれない。5は、スワップになりクリアされた瞬間に標準OISに変更するというので良いと思う。

そろそろLCHの市中協議の期限なので、来週か再来週くらいには今後の方向性が明らかになってくるものと思われる。