リスク削減取引の清算義務免除が進展

既に欧州とオーストラリアで認められていたPTRR (Post Trade Risk Reduction) 取引に関する清算義務免除が、米国でも認められることになった。先週6/17に度米国CFTCからもNo Action Letterが出されている。UKも、英国中銀に清算義務免除を認める権利が定められており、同じような免除が検討されている。欧米で足並みがそろい始めたため、いよいよ、本格的にグローバルでのリスク削減が進むことになる。

これは、相対取引でA銀行との取引が増えリスクが集中してしまった時に、そのリスクをB銀行へ分散させ集中リスクを減らすためのサービスである。この際、金利リスクをA銀行からB銀行へ移す際には、A銀行との間で既存リスクを相殺する金利スワップをブックし、B銀行との間でもとの金利スワップをブックするのが簡単である。しかし、ここで金利スワップを使ってしまうと、それはCCPで清算しなければならないので、自社とCCPとの取引に置き換わってしまい、A銀行からB銀行へのリスク移転は不可能ということになる。

これを解決するため、グローバルでは金利のスワップションが使われているが、これはPayerとReciverの組み合わせとなるため、取引元本が2倍になったり、リスク削減の効率が落ちるという問題がある。

今回米国での免除が実質的に認められたことから、例えば海外で幅広く行われている当初証拠金削減などにおいて、スワップを使ったリスク移転が可能になる。通常は、リスク削減を行う金融機関は、カウンターパーティー毎にIM増加の許容額や、どのカウンターパーティーとリスク削減取引を行えるかを指定できることになっているが、米国とEUの銀行とは、わざわざスワップションを使わなくても良くなるので、想定元本を増やさずにIMの削減効果を上げることができる。両者がスワップをブックできなければならないので、欧州とオーストラリアのみに免除が認められていた従来はなかなか運用が拡がらなかったが、これに米国が加ったのは大きい。

ここで懸念されるのは、免除のない国のカウンターパーティーの場合は、これまで通りスワップションを使う必要があるため、相対的に削減効率が悪化し、取引想定元本が増えG-SIBスコアやSLRが悪化してしまう。参加者によっては、こうしたカウンターパーティーを敬遠するところが出てこないとも限らない。昨今では担保コストをプライシングに入れるIMVA、MVAといった慣行が拡がっているため、IMがより多くかかってしまうカウンターパーティーが敬遠されるという懸念もある。

とはいえ、現在こうしたリスク削減を行っている参加者の多くはこの免除の恩恵を受け始めることができるので、グローバルな金融システミックリスクの削減には資することになるだろう。