CFTCがクロスボーダースワップルールの最終案を承認

待ちに待ったCFTCのクロスボーダー規制の最終案が公表された。これでリーマンショックに端を発するDodd Frank法の大きな改訂が完了することになる。

日本を含む海外市場参加者との取引について米国同局がどこまで関与するかが明確化されたため、日本にとってもポジティブなニュースである。たとえ日本国内の取引であったとしても米国に本社を持つ外資系が関わった場合に、どこまでドッド・フランク法が関与するかは常に厄介な問題であった。もともと、TOTUSレターを手配して米国人が関与しないよう、様々なプロセスを追加しなければならなかったが、昨年のTOTUSレターの廃止に続いて、今後はUS Personが関与したとしてもドッド・フランク上のスワップディーラーの要件がかからなくなる(まだ全文を読んではいないが、おそらくそのはず)。

これで、日本の規制にさえ従っていれば、米国規制の影響を受けることなく取引ができるようになるはずだ。いわゆるANE問題がクリアになることになる(ANE=Arrange、 Negotiate、Execute。米国人が取引のアレンジ、交渉、執行にかかわると米国規制に服すというルール)。

もともと日本では、米国人が関与すると米国規制に従わなければならないというコンセプトだけが有名になってしまい、その詳細がわかりにくいということで、かなり厄介な規制であった。当然のことながら、日本の市場参加者からすると、面倒なので米国と関係していそうなら止めるとか、相手に米国と関係していないことを証明させるという選択肢しかなかったのだと思う。

しかもANEの定義があいまいで、取引のアレンジに関わるとは、どこまでを指すのか、交渉にはどのような話が含まれるのかを定義するのが難しく、このためにNY州法の弁護士に多額のフィーを払うよりは、止めてしまえという判断もあったのではないだろうか。

今回のドラフトを読んでいて面白いのは、JFMC/IBAJのコメントが多数引用され、採用されている点だ。JFMCはJapan Financial Markets Councilの略で、日本の金融市場関係者からなる業界団体、IBAJは言わずと知れた国際銀行協会である。ほかにJSCCのコメントも引用されている。日本の意見が米国でも評価され、採用されているということになる。コメントレターの作成に関わった市場関係者の方々の努力に感謝したい。

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