為替取引の小口化が進展

米国の為替市場についてのISDAのレポートが出されている。為替デリバティブ市場は順調に成長を続けているが、目を引くのは取引の小口化である。以下のように、取引の想定元本は微増にとどまっているものの、取引件数がかなりの伸びを見せている。2024年Q1と直近の2026年Q2を比較すると、取引元本は27%増だが、取引件数は90%増となっている。

かつては「大口が当たり前」だったが、電子取引が盛んになり、小口注文を高速に束ねたり、注文をスライシングしたりできるようになったことが大きい。また、規制強化によってディーラーのリスクテイク能力が低下し、リスクを細かくヘッジする動きが強まったことも影響しているものと思われる。ただし、オプションやFX Swap取引にはあまり小口化の傾向はみられず、NDFを中心としたFX Forward取引において小口化が進んでいるようだ。

取引の増加が特に大きいのはNDFであり、現時点で、NDFが為替デリバティブ取引全体に占める割合は52.7%となっている。NDFなので当然BRLやKRWなどの通貨がメインだが、G10通貨のNDFも14%と一定のシェアを占めるようになってきている。以前、Clarusが分析していたように当初証拠金削減のための取引が増えたためG10 NDFが増えているというのもあるのだろう。

通貨別にみると、KRWが73.5%増と驚異的な伸びを示しているのに対し、唯一USDJPYが減少となっている。韓国については、韓国のオンショア市場がほぼ24時間取引体制へ移行しようとしている点などが理由として挙げられている。2026年上半期にかなりの為替変動があったこともヘッジ取引が増えた理由かと思われる。同様にコロンビアペソ、ブラジルレアル、インドネシアルピアなども軒並み50%超の増加となっている。EURUSDが60%近く増加しているのに対しUSDJPYがここまで減少しているのは興味深い。

為替取引の増加とその重要性の高まりを受けて、ISDAでは2026 FX定義集を公表し、来年11月からの全面導入に向けて準備が進んでいる。当然細かな変更は行われてきていたが、長年利用してきた1998年定義集から実に28年ぶりの全面改定だ。この2026年FX定義集は1998年以降にISDAおよびEMTAが公表してきたさまざまなサプリメントや条項を1つの統合されたドキュメントに集約しており、別途マスター確認契約(Master Confirmation Agreements)を締結する必要性がなくなるとのことだ。導入時期が近付いてきたので、そろそろ準備を本格化させるべきだろう。