英国がレポの最低ヘアカット導入へ動き出した

英国中銀が、これまで段階的に英国債レポの改革議論を進めてきていたなか、今週7月2日にヘッジファンドのレバレッジ規制を目的として、最低ヘアカットを導入するかもしれないという報道が出ている。

金融危機以降、金融システムの安定化を目指し、資本要件を大幅に引き上げてきた。英国中銀としては、これによって銀行がこの分野を縮小し、シタデルやミレニアムといった投資家がそのギャップを埋めるために参入してきたと結論づけていた。昨年、英国国債レポ市場における借入の33%をヘッジファンドが占める可能性があると報じられたこともあり、ヘッジファンドなどのNBFIに対するレバレッジ抑制の議論が盛り上がっていた。

昨年9月には、英国中銀が「Giltレポ市場の強靭化に関するディスカッション・ペーパー」を公表し、中央清算の拡大や、非中央清算レポ取引への最低ヘアカット規制の導入案を提起した。

市場慣行として、立場の強い一部のヘッジファンドが0%ヘアカットを求めることも多く、これが高レバレッジを助長しているというのが英国中銀の認識のようだ。確かにヘッジファンドは、複数の銀行と取引可能で、銀行としても、取引頻度の多いこうしたヘッジファンドは上顧客である。ヘアカット引き下げ競争が起きているというのは、誰もが認識するところだろう。ただし、2年10年のようなカーブ取引で一方の取引のヘアカットをゼロとすることも多い。スワップや現物とセットでみるとリスク中立だったり、プライムブローカーが別途担保を抑えているケースもあるため、単純に各取引につけられているヘアカットを見ても全体像はつかめない。

仮に2%や5%の最低ヘアカットが義務付けられれば、レバレッジが実質的に制限されるため、今年4月に公表された業界からのフィードバックでは、資金調達コストの上昇が国債市場の流動性に悪影響を与えるとして、最低ヘアカットの導入に反対する意見が多数を占めた。

このような反対の声は強いものの、今回の報道を見ると、英国中銀としては、やはり何らかのレバレッジ抑制策は不可欠と考えているようだ。ただし、米国のように清算集中を義務付けるような方向ではなく、相対取引のままIMを導入した証拠金規制と同じような方向性を目指しているのかもしれない。

今後は、7月中にヘッジファンドのレバレッジポジション制限に関するさらなる詳細情報を提供する見込みとなっており、その後各当局と連携し、来年早い段階で最終提案を取りまとめるようだ。日本にはこうした規制は入らないだろうが、グローバルバンクの中にはヘッジファンドの日本国債レポについても同様のヘアカットを要求するところが出てくる可能性があり、日本市場への影響も出てくるかもしれない。