SIMM® version 2.8+2512が公表され、来週7月11日から適用となる。2025年12月までのデータが使われているので+2512がついているが、イラン情勢を受けた市場変動がまだ含まれていない。市場環境が目まぐるしく変わることを考えると、半年ごとの更新に変更したのは正解だったが、それでもこうしたラグが発生する。昨年は特に金利についてはそれほど大きな動きもなかったので、金利のリスクウェイト(RW)には変更はない。インフレや通貨ベーシスのRWも51と21で据え置きとなっている。
ただし、ポジション集中によるペナルティがかかる閾値については、以下のような変更があった。いずれもペナルティがかかりにくくなる方向なので、IMが減る方向に働く。
低ボラティリティ(JPY): 230 → 370 (USD mm/bp)
標準(USD, EUR, GBP): 210 → 220 (USD mm/bp)
標準(その他): 100 → 110 (USD mm/bp)
高ボラティリティ: 51 → 71 (USD mm/bp)
リスククラス間の相関は金利とFXで10%が15%に上がるなど若干の変更がある。
今回注目なのは為替に関する変更だ。以下のようにボラティリティが高い通貨が関係するとリスクウェイトが格段に上がる形になっている。ドル円などRegular/Regularでも7.1から7.4へとRWが上がっている。為替関連に関してはIMが増える方向になりそうだ。RUB(ロシア)とVES(ベネズエラ)がHighからRegularに変更されているのが興味深いが、ほとんどリスクがないだろうからあまりインパクトはなさそうだ。新たにISK(アイスランド)がHighに認定されている。一方Vegaリスクについては0.34から0.33と緩和されている。
| v2.8+2506 | v2.8+2512 | |
|---|---|---|
| Regular / Regular | 7.1 | 7.4 |
| High / Regular | 18.0 | 31.7 |
| Regular / High | 18.0 | 31.7 |
| High / High | 30.6 | 31.7 |
クレジットについては、金融セクターのRWが327から271に減っているのがプラスに働くが、ハイテクが326から423に上がっている。株式は微調整程度の変更にとどまっている。
一方大きく低下したのがコモディティだ。欧州電力などは64から29へと大幅に低下、石炭、天然ガス等も軒並み低下している。
総じて日本の市場参加者にとっては、コモディティ取引を大規模に行っていない限り大きな変動はなさそうだ。特に金利に変更がないのが大きい。為替取引を大きく行っているところは若干の影響が出るかもしれないが、為替のフォワード取引がSIMMの対象外であることから、影響はそれほど大きくないだろう。TARF、RDC、PRDCなどのExoticな取引やFX Optionが多いところを除くと、SIMMの増加は限定的なのではないかと思われる。あとは次回のVersionで金利のRWがどう変化するかに注目したい。