今後の金融の姿

緊急事態宣言が発令され、飲食店は軒並み営業停止や縮小に追い込まれている。とりあえずは5/6まで休みとしているところも多いが、これはおそらく数か月から半年、あるいは1年以上続く可能性が高いため、今手をこまねいていると早晩大変なことになる。日本は個室で食事をするのを好むため、感染対策を万全にした店舗への移行はしやすいので、少しやり方を変えて来るべき日に備えて準備をしていく必要があろう。

これはどの業界にも言えることだが、今後はビジネスのやり方を根底から変えていかなければならない。特に大打撃となっているバーでは、小瓶に入れたカクテルなどをデリバリーしようにも規制の関係でこれができないが、金融においても、免許制度、規制を変えていかなければ、ビジネスの変化に日本が取り残されてしまう。

まずは専用端末といったコンセプトを完全に放棄しなければならない。これまではセキュリティ重視から好まれた方法だったのだと思うが、日銀ネットに始まり、専用線を引いたPCしか使えないということになると、結局誰かが出社しなくてはならない。そのために高度なセキュリティ技術が必要になるが、海外で広く使われている仕組みを借りてくればそんなに難しいことではない。個人投資家を守るためというのももっともではあるが、郵送を原則としている取引報告書なども、メール等による送付を可能にする必要がある。

日本国債の入札・輪番業務、補完供給等のプロセスもかなりマニュアルだが、これも完全にオフィスに人がいるという前提で造られた仕組みで、こうした危機時には非常に脆弱な仕組みだ。政府が出勤する人数を絞り始めている今、日本国債の取引が海外に比べて極端に細ってしまうのではないかという懸念も聞かれる。これまでは、日銀を含めてほとんどの会社が、自社でプロセスやマニュアルを決めて、それへの対応ができることを金融機関に求めるということが多かった。今後は標準のやり方を決めてそれに適したシステムやプロセスを決めて皆がそれに従うというやり方にしないと、コストがかかりすぎてしまう。

スワップも海外のように、ボイストレーディングを極力減らし、スクリーンでの執行を進めていくべきだ。こうなってくると国債のe-tradingも極力進めた方が良いだろう。銘柄間の差も取引流動性を下げる原因になっているため、CDSのインデックスでやったような年4回のロールを2回にするといった変更など、これまで全く考えなかったような変更をJGBについても行っていくべきかもしれない。CDSでは以前に発行されたシリーズの流動性は極端に低くなってしまう為、極力最新のシリーズであるカレント物にロールするという慣行があるが、JGBでもこうしたロールを促していくことはできないものなのだろうか。あるいは日銀が古いシリーズを市場から極力吸収していくとか、何か方法を見つけないと、オンザラン、オフザランの違いからリスクが発生したり、今回のように流動性が落ちたりしてしまう。国債の引け値のきざみが粗すぎるというのも日々の収益変動が大きくなる理由となっているような気もする。

今は緊急危機対応に忙殺されてしまっているが、おちついたら新しい金融のあり方を模索してみたい。

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