足元2026年のデータが少しずつ明らかになってきたので、ISDAのSwapInfoのレポートを確認してみる。大方の予想通り、市場変動を受けて2026年第一四半期のデリバティブ取引量は大幅増となっている。金利デリバティブは38%増、CDSもインデックスものは40%の増加となっている。
金利デリバティブについては、Q1の取引件数、取引元本とも爆発的な伸びを見せており、過去最高水準になっている。

出所:SwapsInfo First Quarter of 2026 Review
当然ながらLIBOR改革を経てOISが7割近くを占めるようになってきたが、EURIBORなどOIS以外の金利スワップも一定程度残っているようだ。取引の7割が1年以下となっており、短期ヘッジが多くなっているために、全体の想定元本が増えているとも言えよう。
全般的に取引件数が急増したものの、平均取引サイズが縮小傾向にある。電子取引、アルゴリズム取引の増加に伴い、細かいヘッジが増えているものと推測される。SEFを通じた取引も急激に増え、海外ではSTP化が進んでいるため、オペレーションの手間をかけずに、自動で取引のブッキングが行えるようになったことで、大量の取引件数にも対応可能となった点が大きい

海外当局は、こうした取引増を見込んでシステム化や自動化を促すべく、米国ではSEF、欧州ではOTF、MTFの規制を強め、取引を自動的に処理するためのSTPガイダンスによって、金融機関のシステム投資を促してきた。リミットチェックなどで取引ができない場合は、それをあたかも存在しなかったものとして扱う規制や、リアルタイムレポーティング規制なども、こうしたシステム化を後押しした。本邦では一応ETPはあるものの、海外ほどの効果はなく、STPを進める規制等は存在していないこともあり、引き続きマニュアル対応が可能となっている。このまま金利上昇やボラティリティの上昇、取引量急増、人手不足、決済期間短縮などが進んだ場合、海外に後れを取らないよう、プロセスを見直す必要があるという意見が業界でも多く聞かれるようになってきた。
通貨別でみると、BISの統計などとは異なり、USDが全体の35%と最大の取引量となっている。しかしQ1の取引量はそれほど増えていない。GBPが前年同期比+71%と急増えているのが目立つ。残念ながら円についての内訳はないが、その他通貨が増えているので、円についても一定の増加が見られるものと思われる。EURについては2025Q4からの伸びが、45%増と著しい。
CDSについては、インデックスCDSが強い伸びを見せている。市場変動やクレジット市場の変調を受けてヘッジニーズが高まっている。CVAのヘッジなどもこうした増加に貢献しているものと思われる。増加分はほとんどが米国CDXとiTraxx Europeとなっている。これも本邦ではCDS市場の盛り上がりに欠けており、若干グローバルと乖離した動きになっている。
これらのデータから読み取れることは、短期を中心とした取引数の急増、CCPやSEFなどを通じた高頻度取引の増加、各通貨におけるヘッジニーズの更なる高まり、信用不安を背景にしたインデックスCDSの増加である。取引増に対応できるシステムや人員体制の整備がますます求められることになるだろう。