バーゼルのCentral Bank Survey 2025‐為替編

3年ごとに公表されるBaselのTriennial Central Bank Surveyが出ているので、今回も簡単にまとめてみたい。まずは、為替取引から見てみる。このデータは4月の一日平均の取引量を調べたものだが、4月というとTrump Liberation dayのあった月である。したがって、通常より取引が多かった可能性もあるので、少し割り引いてみる必要があるかもしれない。

まずは全体の取引量を見てみると、以下のようにSpot、Fowardを中心に3年前の約30%増になっている。中でもForward、通貨スワップが伸びており、伸び率でみるとOptionその他も倍以上になっている。一方、FX Swapがほぼ横ばいなのも興味深い。

取引主体別にみるとその他金融との取引が最も伸びているが、ここはヘッジファンドや銀行以外のマーケットメーカーが中心だろう。

次に通貨スワップにフォーカスしてみると、約40%の伸びで、その他金融の伸びが大きい。また、実額は小さいものの、非金融も3倍近くに伸びている。債券発行や実需ヘッジなど、事業会社のフローも増加していたのかもしれない。

通貨ごとの取引量を見ていると、ドルが依然として強く、その傾向はむしろ強まっているように見える。円は第三位の地位を保っているが、中国元やスイスフランの伸びが大きくなっている。

取引される通貨ペアを調べてみると、USDJPYはUSDEURに次ぐ第二位のペアとなっているが、驚くことに第三位がUSDCNYになっている。USDGBPなどを一気に追い越した形だ。

取引執行を地域別にみると、以前英国が強く、全体の38%で首位、次に米国が19%で続く。そのあとはシンガポールと香港で、二つ合わせると米国とほぼ同じ水準になっている。為替市場に関しては、英国、米国、香港+シンガポールという3極になっており、日本の割合は3.5%にとどまっている。香港は頭打ちになっているが、シンガポールの躍進が進んでいる。

トランプ関税ショックの影響もあるだろうが、為替の取引量が順調に伸びていることが確認できる。ここからは特にドル離れは見て取れない。景気減速にも関わらず中国のプレゼンスは引き続き上がってきている。市場という意味ではアジアはシンガポールが為替の拠点としてはメインになってきているように見える。取引主体も銀行からその他のプレーヤーへの分散がみられる。