G-SIBスコア日次平均化のインパクト

米国バーゼルIII最終化案に含まれていたG-SIBスコアの計算方法の変更が大きな波紋を呼んでいる。6/19の米国案は、2023年案よりも後退したため、歓迎ムードが漂っているかと思いきや、この日次(あるいは月次)平均化への影響により、これまでより、ディーラーのキャパシティが落ちるのではないかと懸念する声が聞かれる。

Risk.netでも報道されていた通り、マーケットインパクトのみならず、計算負荷を懸念する意見もある。3月の提案では、いくつかの指標については日次平均で、その他の指標では月次平均でG-SIBスコアを計算することを義務付けている。従来は四半期に一回計算していたものが、毎日の計算となると、これまでシステム化投資を行ってこなかったところには大問題となる。当局報告であるため、手作業で正確な計算が求められるとコストがかかるほか、間違いも多くなるためシステム化は不可欠となる。日々データを集めるだけでなく、その分析や記録、それを金融機関内の移転価格に反映させるという作業も発生する。この結果が、ストレステストやリスク管理などにおける、その他の規制報告データと整合的かをチェックする必要も出てくる。

また、日次となると、日々バランスシートの状況をモニタリングし、それを迅速にプライシングに反映させる必要が生じ、新たなチャージ、あるいはXVAのようなプライシングが一般的となるかもしれない。

年末にバランスシート調整を行っていたレポ、為替、PBなどのビジネスに年間を通じた影響が生じ、年末に重点的に行っていたコンプレッションなどの元本削減努力が、常に行われるようになる。

単なる米国のルールと思いがちだが、これまでの経験からすると米系がビジネス慣行を変更すると、幅広く市場にインパクトが波及することが多い。特にアジアでは、米系の方針転換がデリバティブ市場の取引慣行に影響を与えたケースは、SA-CCR導入時のFXや、SLR導入後のレポ市場、クライアントクリアリング、PBなどにおけるリミット縮小など、多数見られている。

コメント期限は来月6月18日だが、どの程度の意見が出されるかに注目が集まる。しかし、G-SIBスコアの計算頻度に関しては、年末だけBSを取り繕う慣行を問題視する声が高まっていたため、覆ることはないように思う。導入自体は来年になる可能性が高いが、徐々に市場に影響が出てくることになろう。