リサーチアンバンドリング規制緩和に向けた動き

英国がリサーチアンバンドリングの規制緩和を行うと報道されている。来週月曜には何か正式な発表がある模様だ。もともと欧州MiFID IIによって施行された規制だが、リサーチサービスを提供することによって取引を取るという慣行を不透明とし、この二つを完全に切り離すという規制だった。

当時このブログでもこの規制の問題点について書いたが、そもそもこれが本当に金融取引の健全性と透明性の向上に資するのかはよく分からない規制であった。日本でも、欧州顧客に対してうっかりリサーチを提供してしまうと規制違反になるのではないかということで、リサーチ提供を止めるところも多かった。欧州の投資資金が入っているファンドや、欧州銀行のアジア支店など、どこまでが欧州規制の対象になるのか、かなりの議論をしたことが思い出される。結局誰も規制違反はしたくないので、保守的にリサーチ提供先を限定し、結局不利益を被ったのは顧客という状況になってしまった。

利益相反の問題は少ないのかもしれないが、無料で情報提供をすることによってビジネスを取ってくるコンサルや法律事務所も多い。当然取引があるからと言ってリサーチの内容を恣意的に変えてはいけないが、ここは手数料を別にするよりは、検証をして必要があれば行政指導や罰金を科すという方法でも問題ないように思う。

そもそもリサーチを無料で受け取ることに慣れてきた投資家が、喜んで手数料を払うようになるかというと無理がある。結局手数料がなければアナリストへの給料も払えなくなるので、あまりニーズのない小型株などのリサーチが廃止されるという、当たり前の結果となった。投資家がリサーチに払うコストも1/5に減ったという報道もあったが、各金融機関ではリサーチアナリストのリストラが進み、業界全体のアナリストの数が減ってしまった。結局情報が少なくなり、顧客がアクセスできるリサーチの数も減り、金融マーケットに対してプラスのインパクトがあったとは思えないという結果になっている。

この英国の動きを受けて欧州規制がどう変わるかに注目が集まる。くしくも米国ではこの欧州規制の域外適用の免除期限が間近に迫っているので、世界的な影響がある。欧州でもリサーチアンバンドリング規制緩和に向けた議論が加速するのではないだろうか。