日本円金利スワップの躍進

日銀政策変更を期待する海外勢の取引増もあり、日本円金利スワップの取引量が急増している。現場の感覚としても昨年はかなり取引が活発だった印象があるが、
JSCCの統計で確認してみる。月次の債務負担金額をグラフにしてみると以下のように一目瞭然だ。個人的にも、グラフを描くまでは、ここまではっきり出るとは思っていなかった。

当初は月50兆円程度だった債務負担金額は、たまに100兆円まで届くようなこともあったが、LIBOR改革の辺りで若干取引が減っていた。LIBORからOISに移行した後は順調に取引量が増え始め、昨年一気に急増し、月間200兆円を超えるようなレベルになっている。

これは単なる想定元本なので、短期の取引が増えれば元本が増えるのだが、特に短期シフトが起きているわけではなさそうだ。昨年11月と12月は2年未満の取引が増えており、若干元本の増加に寄与しているが、それでも全体のトレンドは変わらない。

もう一つの要因としては、LCHからのシフトであるが、現状の債務負担残高がJSCCが61%を占めている。以前見た時は50%程度で拮抗していたと思うのでJSCCへのシフトは確実に起きているようだ。これまでの蓄積である残高でみて61%なので、最近の取引だけを見れば70%を超えているときも多いだろう。

外資系証券の取引量が増えているというニュースもあったことから、やはり海外勢の円金利スワップの取引量が増えているのだろう。これまで、日本円金利スワップの取引量は他通貨に比べてあまり増えてこなかったが、ここへ来て一気に盛り返している感がある。

日本円の金利にはCCPベーシスがあるので、LCH金利とJSCC金利が存在しているが、最近ではJSCC金利を使って取引をしたいというところがほとんどになっている。通貨スワップのディスカウントなどもJSCCを好む人が表れているので、市場慣行としてはJSCC金利が円金利スワップの標準になったといっても過言ではないだろう。

いずれにしても日本円においても、遅ればせながら他通貨並みに金利スワップの利用が増えてきた。これからますますデリバティブ取引の重要性は日本でも高まっていくことになるのだろう。海外に比べて遅れているデリバティブリスク管理に通じた人材の育成も急務である。