危機時に中銀サポートを前提とすることが容認され始めた?

ECBがCCPに対して銀行免許なしに流動性サポートを供給する可能性に言及した。あくまでもCCPは自らのリスク管理体制を強化すべきであり、中銀や当局に頼るべきではないというのが当初の考え方だったが、CCPでの清算が義務化され、ここまで金融インフラとして確立してくると、こうした動きは歓迎すべきだと思う。現時点で銀行免許を持っているのはEurexとLCHのフランス現法だけだが、これが欧州の他のCCPにも拡げられる可能性がでてきた。

米国でも重要性の高いCCPに対しては、かなりの制限はついているものの、中銀アクセスは可能な建付けになっており、この条件緩和の議論が継続中である。当然マーケットにとっては、これによってCCPの管理監督が強化されようとも、その代わりにCCPへの中銀アクセスが認められるのなら、市場安定に資するものと思われる。

欧米がこのような流れになっている中、日本のCCPに対しても同様の議論が巻き起こるかに注目が集まる。おそらく、現在JSCCに参加しているような大規模金融機関が破たんした場合には、市場の崩壊を避けるため、日銀から何らかのサポートが得られる可能性が高いと考えている市場参加者は多いようだ。ただし、それを最初から当てにして仕組みを構築するのと、本当に危機が発生したときに金融対応をするというのは、似て非なることである。

とは言え、グローバル規制の考え方は、こうした本当の危機に備えて資本や流動性を常日頃から確保しなさいという方向になっている。つまり、欧米のように最初から一定の条件で中銀の流動性に頼れるということになれば、無駄な資本、流動性確保を日々行う必要性から解放される。おそらく日本の参加者破綻などの危機時に流動性提供を約束している欧米金融機関の多くは、その資金額に対して資本手当てをしているところがほとんどだと思われるが、この負担がなくなる。

これまでは、こうした点も含めて保守的な対応がなされてきたのだが、米国短期市場の混乱等により、欧米当局の考え方が少しずつ変化してきているように思う。先日ここでも書いた米国FRBの連銀貸出の話も同様である。

日本の場合はこうした資本コストが高いため、他国のCCPで清算するようなインセンティブが働かないよう、日本でも同様の議論が盛り上がることが期待される。

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