マージン規制フェーズ5/6延期決定

Basel/IOSCOから証拠金規制のIMフェーズ5と6の延期が昨日発表された。先日ここで予想した通り1年の延期となっている。想定元本50mmユーロを超える参加者は2021年9月1日、8mmユーロを超える参加者は2022年9月1日が適用開始日となる。

金融庁からは日本の規制変更も出ると思われるので、日本の市場参加者についても1年の猶予ができる。

今回の危機で海外がかなりの割合で在宅勤務になる中、日本では決済や担保授受といったオペレーション業務が在宅に対応できないため、取引が細るということが懸念されているので、日本にとっても朗報なのかもしれない。

これを機に、会社の端末でないと送金指示ができないとか、郵送の取引コンファメーションしか受け付けないとか、適格機関投資家以外には同意がない限り、郵送で書類を送らなければならないとか、新時代に対応できない慣行についての見直し作業も進むことが切に望まれる。

規制緩和により焦点は資本・バランスシート規制から流動性規制へ

米国FRBからの金融機関向け連銀貸出、連銀からの有担保、無担保信用供与、資本・流動性バッファの利用、所要連銀預金の減少各種緩和策が出ており、そのQ&Aも公開されている。その後SLR(補完的レバレッジ比率)規制の一時的緩和も行われ、米国債と連銀預金をレバレッジエクスポージャーから除外することが認められたのは既に紹介したところである。

とは言え、LCR(流動性カバレッジ比率)規制に関する緩和が行われていないため、銀行がバランスシートを拡大することができずにいるという記事がRisk.netに紹介されている。

欧州ではECBがLCRが100%を下回ることを許容しているとのことなので、米国とは異なる対応となっているようだ。米国もQ&Aの中では100%を許容しているように受け取れるコメントもしているが、その解釈を巡っては業界でも混乱が生じている。このような状況では100%を下回る状態に陥ることを避けようという銀行がほどんどだろう。

米国にはほかにもRLAPとかRLENという流動性要件があるので、事態は更に複雑になる。RLAPはResolution Liquidity Adequacy and Positioning、RLENはResolution Liquidity Execution Needsの略で「アールラップ」、「アールレン」と呼ばれているようだ(少なくとも私にはそう聞こえる)。こうした制約は銀行によって異なるため、何を重視するかは業界でコンセンサスを取るのが難しいので、ロビー活動も一筋縄ではいかない。

つまりバランスシート規制、資本規制についてはかなり緩和が進み銀行が市場に資金を融通することが可能になってきたが、流動性関連規制が置きざれにされている。国の要請によって企業に資金を融通すると一部が預金に残り、それがLCR等流動性関連比率を悪化させてしまうため、資金供与をするインセンティブに制限がかかるという仕組みのようだ。

あまり全てを緩和しろというのもやりすぎだとは思うが、ありとあらゆる規制を入れたため、その関係性が複雑になりすぎ、一部規制緩和だけでは、なかなか市場にインパクトを与えにくくなってきたということなのだろう。