BACK TO WORK?

ようやくオフィスに人を戻すという議論がグローバルで始まったという報道が多くなってきた。金融業界では、他社と差別化するためトレーダーに出社を要請した米銀大手が批判されていたが、日本では、他社と差別化するというよりはコンプライアンスの要請により、トレーダーは多くが出社を余儀なくされている。当局サイドは人命や医療崩壊防止を優先してそれほど厳しい立場をとっていないように思うが、やはり日本のコンプライアンス的には、法令順守が何よりも重要という雰囲気があるのだろう。

韓国、香港、シンガポールなどでは、かなりの人数がオフィスに戻り始めており、最終的には適切な対策を施した上で、コロナ前に戻そうという雰囲気があるが、欧米では、コロナ前に戻ることはないという前提で話が進んでいるように感じる。日本はどうかというと、この中間か、どちらかというと欧米に近い感覚ではないか。欧米では出社したくないという声が良く聞かれるが、何よりも会社を第一に考える日本時には出社したくないという声は少なく、出社要請があれば皆素直に戻ってくるだろうと、欧米のメディアでも報道されている。

さて、それでは今後もし出勤者を元に戻すとなったとき、職場環境はどのように変わっていくのであろうか。既に紹介した内容とも重なるが、すぐに思いつく変化としては以下のようなものがあるが、直ちに準備を進めておくのが賢明だろう。

  • 非接触型体温計による入館時の検温(顧客や配達員等も含む)
  • 会社では常にマスク(マスクの配布)
  • エレベーターの人数制限
  • 社員の行動管理(例えばGoogle/AppleのTracking)
  • 消毒の徹底(中国のように2時間に一回、通常の3倍等)
  • 社員に対する抗体検査の実施、会社でのPCR検査(可能かどうか不明だが)
  • 指紋認証等接触型認証から非接触型認証へ
  • 社員証をかざすと行先階を認識するような非接触型のエレベーターのボタン
  • トイレのハンドドライヤーの廃止
  • 接触型のドアから自動ドアへの変更
  • 電子署名の推進
  • 郵送業務の縮小と電子化
  • デスク分散(隣の人との距離を空ける)
  • 固定デスクから誰もが使えるオープンデスクへの変更
  • 可能な場合は在宅勤務の継続

今回の一件で、実は在宅勤務ができるようになって有り難かったという声も多く聞かれている。保育園に落ちたため求職を考えていた社員、妊娠中の社員、介護問題を抱えていた社員、遠距離通勤をしていた社員等の中には、コロナ後も在宅を続けたいという人も多いのではないだろうか。

いずれにしても、一度戻そうという動きがあったとしても、感染再拡大が起きれば元に戻ることもあるだろうから、今後しばらくは、完全には元に戻らないという前提で準備を進めておくべきだろう。