Brexit後にEUの市場参加者がLCHのような英国のCCPに参加できなくなるという恐れがあったが、今年の年末以降も引き続き英国CCPへのアクセスを認めるというアナウンスメントが先週木曜にあった。
EUの市場参加者にとっては朗報ではあるが、ある意味当たり前の結果でもある。いくら英国が離脱したからといって、現時点である意味世界一ともいえるLCHにアクセスできないとなると、それはEUにとっても打撃となる。
とは言え、引き続きあらゆる可能性に備えることを推奨するというコメントも加わっており、引き続き可能であればEUの中でCCPを完結させようという意図も伺われる。これは時限措置としての位置づけだが、今回はいつまでという期限が明示されていない。
今後は英国とEUの規制の同等性が重要になってくる。両国がお互いの規制を同程度の頑健なものと認めればお互いの規制に依拠できるという考え方である。
EUとしてはEurex等のEU域内のCCPへの移行がもっと進むという希望的観測を持っていたのではないだろうか。しかし、一度約定した取引を別のCCPに移すという作業は思ったより難しく、流動性の問題もあるため、CCP間のポジション移管が事実上困難ということが明らかになったとも言えよう。
したがって、例えばLCHが日本の円金利スワップ市場に参入したとしても、急激にJSCCからLCHの移管が進む可能性は低いということなのかもしれない。CCPベーシスが存在する今のマーケットでは、LCHスワップとJSCCスワップは別物になってしまっており、お互いに共存していくということになるものと思われる。円金利スワップの流動性向上のためには、CCPベーシスがなくなるような相互接続を可能にするか、LCHの円金利スワップへの参入を大々的に許容する方が望ましいのではないかと思える。