ベイルイン対象のSNP債の発行が欧州で急増

2019年に欧州系銀行が発行したベイルイン債がEUR100bnに達した模様とのことで、これは過去最高額である。 SNP債(Senior nonpreferred債)が中心だが、これは非優先シニア債とでも訳すのだろうか、銀行が危機に瀕した際には株式に変換されたり、銀行の損失を処理するために使われる債券である。金融危機時に税金投入をして批判を浴びた際に新たに導入が進められたリスクの高い債券である。

システミックリスクのあるとされる大手銀行は、2022年までにリスクウェイト資産の18%のベイルイン債を確保しなければならないことになっている。欧州ではMRELというハードルを設けて中小銀行に対しても十分なベイルイン債の保有を義務付けている。欧州のあらゆる国がSNP債の導入を進めていることから、今年2020年もこのSNP債の発行は高いレベルで続くことになると予想される。当然リスクの高い債券なのだが、昨今のマイナス金利債券と金融緩和から、投資家の需要も高く、順調に消化されている。これも一旦危機が起きると急に価格が暴落する資産の一つだろうが、しばらくは底堅い状況が続きそうだ。

年末のドル資金逼迫が無事回避された

懸念されていた年末の短期金利暴騰は起きなかった。米国FRBの大量資金供給により、混乱なく年明けを迎えることができたようだ。2019年最終日のレポ金利は1.55%くらいから1.88%に上昇したが、昨年末の6%と比べると極めて落ち着いた動きだった。

12月31日の翌日物の資金供給は$25.6bnとなり、これ以外にターム物の$230bnがマーケットに供給された形になっている。引き続きFEDの資金供給は継続されるものと思われ、正常化には程遠いというのがマーケットのコンセンサスではないかと思われる。今年もFEDの動きには注目が集まる。