日本株への注目は高まるか

中東問題やウィルスの話はあるものの、年始からマーケットは堅調な動きを見せている。各国中央銀行の金融政策が最大のドライバーであることは間違いないが、企業決算、地政学リスク等を考えると、市場関係者の間では極めて慎重な意見が多い。ダボス会議でも、BridgewaterのCIOのコメントにもあるように景気拡大は終わり、中央銀行は金融緩和も引締めもできないという苦しい立場に追いやられてるように見える。

マイナス金利政策については、銀行業界から多くの批判が出ているが、やはり自らの収益低下の言い訳に聞こえるのか、ロビー活動の成果は全く出ていない。最近では、マイナス金利政策の長期化が経済に与える悪影響を説明することにより、別の方面から説得を試みているように見えるが、確かにマイナス金利政策のおかげで、資金がリスク資産に急速に流れているのは事実であり、これが資産価格上昇を招いているというのも誤った指摘ではないだろう。今年だけで19兆ドルにも上るという社債のリファイナンスの規模もクレジットマーケットにとっては懸念の種である。通常のリセッションは、こうした債務不安から株価急落が誘発され、景気後退という流れを辿る。ダボス会議である投資家代表がコメとしたように、中央銀行が次のリセッションを2021年か2022年に先延ばしはしているものの、最終的には確実にそれは起きるのだろう。

過去の株価や不動産価格の動きを見ていると、今ここで投資を増やすかどうかというのは非常に難しい選択だが、投資しないリスクもある。その中で唯一過去対比それほど割高に見えないのは日本株なのかもしれない。日経平均株価では、過去20年で2回表れた月足のゴールデンクロスに近づいている。ここを達成すると、現在の価格から2割高の2万9000円付近までの上昇が視野に入るとの見方がある。確かに何かショックがあった時の傷は既に急上昇した他のセクターよりも、浅くなるのかもしれない。