2018年末の米銀G-Sibスコアはどのように変化したか

米銀が2018年末にどの程度G-Sibスコアを減らしたかというニュースがRisk.netに出ていた。G-Sibスコアによって年末のバランスシートの使い方が変わり、それによって市場へのインパクトもあることから近年特に注目が集まっている。

特に規模を表わすスコアについては、各社の戦略を反映してかかなり異なる様相を呈している。規模スコアは、オンバランスのエクスポージャー、デリバティブ取引、SFT、オフバランス項目のクレジットエクスポージャー相当分の4つのカテゴリからなるが、GSがほとんどのカテゴリでスコアを減らしている。MSとState Streetも同様に規模縮小を進めているようだが、JPMとBNYは反対に規模スコアを伸ばしている。JPMは増加分のほとんどがレポ取引のようだ。記事にも書かれている通り、デリバティブエクスポージャーを減らすと、規模、相互連関性、複雑性スコアに影響があるため、各社とも特にここの削減に毎年力を入れているように見える。

全般的にデリバティブエクスポージャーを減らしてそれをレポ等に振り向けているようだが、このデータは一年遅れの2018年末のものであるため、ここでレポが膨らんだことからスコアの削減に本腰を入れたところがあったから9月の混乱が起きたというのは勘ぐり過ぎだろうか。いずれにしても2019年末にどう変化しているかに注目が集まる。

ベイルイン対象のSNP債の発行が欧州で急増

2019年に欧州系銀行が発行したベイルイン債がEUR100bnに達した模様とのことで、これは過去最高額である。 SNP債(Senior nonpreferred債)が中心だが、これは非優先シニア債とでも訳すのだろうか、銀行が危機に瀕した際には株式に変換されたり、銀行の損失を処理するために使われる債券である。金融危機時に税金投入をして批判を浴びた際に新たに導入が進められたリスクの高い債券である。

システミックリスクのあるとされる大手銀行は、2022年までにリスクウェイト資産の18%のベイルイン債を確保しなければならないことになっている。欧州ではMRELというハードルを設けて中小銀行に対しても十分なベイルイン債の保有を義務付けている。欧州のあらゆる国がSNP債の導入を進めていることから、今年2020年もこのSNP債の発行は高いレベルで続くことになると予想される。当然リスクの高い債券なのだが、昨今のマイナス金利債券と金融緩和から、投資家の需要も高く、順調に消化されている。これも一旦危機が起きると急に価格が暴落する資産の一つだろうが、しばらくは底堅い状況が続きそうだ。