リスクオフで選好される円以外の安全資産

年始に中東に緊張が走った時、誰もが急速な円高を予想したはずである。だが実際は107円程度までの穏やかな円高にとどり、その後はすぐに110円までの円安に動いた。以前は、有事の際は安全資産といい割れる円への資金逃避が起き、円高につながるというように言われることが多かったが、徐々にこの法則が働かなくなってきている。

マイナス金利で行き場を失った資金が外貨資産に流れ、急速なリスクオフの際に円に換えるニーズがあるからと言われることもあるが、何となくしっくりこない。おそらく他国の金利も下ってきたため、円以外の選択肢が増えたと言う事なのではないか。事実、今回は円ではなくゴールドに資金が流れているようでもあり、ユーロ等の低金利通貨にも資金が向かっているように思える。こうなると日銀が介入するような急速な円高の可能性はかなり低くなっているのではないだろうか。