米国株式市場の混乱によって規制強化が起きる

以前WSB(WallStreetBets)の話をしたが、先週はこの話題で持ちきりだった。GameStop株の乱高下で個人投資家の存在感の大きさが際立ったが、オンライン掲示板のコメントで群衆が動き株価が動くというのは、理論的には当たり前の話だったが、ここまでの騒ぎになると何等かの規制が入ってくるのは間違いないだろう。

フォーカスの当たる会社は、特に業績が良い訳ではなく、何の脈絡もなく突然人気株になってしまう。銀が上がると書かれればETFや銀の現物まで一気に価格が急騰する。健全なマーケットとは程遠い。証券会社の人間がどこかの株価を吊り上げようとしたら完全に犯罪だが、一般群衆となるとどうやって規制するのだろうか。

バブル期の日本で証券会社がこの銘柄と決めて顧客に勧めまくった姿は、これと同じような動きなのかもしれない。個人投資家が一時取引ができなくなったにも関わらず、ヘッジファンドや機関投資家は取引が継続できたということで、政治家も証券会社批判に回っている。

SECは昨日1/29に声明を出しており、現状を詳細にモニタリングすると言っている。当局、FINRAや自主規制団体とともに議論を重ねているようであり、疑わしい取引について報告をするページを設けて意見募集もしている。

何と言ってもあのGensler氏が議長になるのだから、何も変化が起きないということはないだろう。ただ、Gensler氏のフォーカスが以前のようなデリバティブ規制ではなく、昨今のこうした動きやSPAC、ビットコインというところに向かいそうなので、従来のような銀行規制の強化にはすぐには手を付けないようにも思う。外出自粛が続く上、給付金追加支給もあり、中央銀行の流動性供給も続くことから、株式をめぐる混乱はしばらく続くだろう。もしかしたら規制強化が株式バブル崩壊の引き金になるということもあるのだろうか。