英国が金融を引っ張り始めた

英国当局が各種規制導入時期についてのロードマップを木曜に公表した。Brexitへの準備、新資本規制等、一年以内に施行予定だった規制の約2/3が延期となっている。特に7月までに大きな作業が必要な項目がかなり少なくなっている。一方で、延期されてない項目も多数あり、これらが重点項目として認識されているのがわかる。

金融のEUからの離脱に関するものや、国際金融機関の支店に対する監督等、自国内の金融を守るための政策は引き続き進めたいということなのだろう。今後国と国とをまたぐ取引、移動等が少なくなっていくことを考えるとBrexitは時代の先を行っていたと言えるのかもしれない。お金には国境がないため、物流の様に資金移動が止まることはないだろうが、それでも国境をまたぐM&Aや輸出入にかかる資金取引が細ることが予想され、金融取引にも何らかの影響が出てくることが予想される。イギリスのように、EUから離れて自国の政策を考える国の方が、小回りも効き、今回のように迅速で柔軟な対応ができるというのは今後大きな強みなのかもしれない。

さて、その他注目規制アジェンダとしては、Basel IIIとLIBOR改革があるが、こちらは若干の微修正はあったものの、予定通りのスケジュールとなっている。

いずれにしても、最近はイギリス当局の積極的な動きが目立つ。EUという足かせがなくなったことも関係しているかもしれないが、調整が必要でかつ独仏に頼ってしまう傾向のある欧州に比べて、矢継ぎ早に政策修正を行っているように見える。LIBOR改革も英国当局が引っ張っているような印象さえ受ける。

同じ島国で足かせもないのだが、やはり金融に関しては日本が世界を引っ張るというのは難しいのだろうか。行き過ぎた金融規制に関する金融庁高官からの数年前のコメントは海外でもかなり注目されたが、欧米から離れた日本も何か金融に貢献できることがないわけではない。人材はいるのだから金融関連の政策を検討する専門集団でも作れないのだろうか。

コメントを残す