感染拡大を受けたロックダウンにより増えた貯蓄額が、主要国で2.9兆ドルに上り、一旦これが消費に回ると経済回復が加速するという分析が報道されている。そのうち半分くらいは米国だが、日本も10%近い32.6兆円くらいと推計されている。
確かに自分の行動を振り返ってみても、旅行や外食を一切せず、特に大型の買い物をしようという気もなかった。使うものがないので株式投資に回したという人も米国では特に多かったようだ。そうなると飲食、旅行、スポーツ観戦やコンサートなどのイベントに戻ってくる資金はかなりあるだろう。
そうなると米国の経済成長率は現在の予想の4.6%から倍の9%になるとの分析だ。当然コロナの時期に増えた負債返済に回す動きもあるだろうが、米国に比べると日本ではこの影響は少なそうだ。米国ですら家計負債総額はそれほど増えていないというデータもある。この点ではリーマンショック時とは全く異なる。欧州でも貯蓄額の上昇がみられる。フランスなどではロックダウン解除後にすぐに飲食に対する消費が急増したという経験もある。
そのうち巨額増税があるだろうが、しばらくは各国政府も経済支援を続けるだろうから、それまでは少し時間があると思われる。あとは、失業率とインフレ懸念だが、雇用に関しては明るい兆しが見えつつある。
ここまで思い切った政府支出が正当化されるとなると、今後は、何らかの危機があった時の方が株式等の資産価格が上昇し、何もない時の方が株価上昇のペースが抑えられるということになるのかもしれない。