2021年末のLIBOR公表停止発表

昨日3/6、待ちに待ったLIBORの公表停止予定の公表がFCAからあり、ISDAからも矢継ぎ早にアナウンスがあった。日本の新聞でも報道されているくらいなので重要性は認識されているだろうが、最重要ポイントは、これでLIBORと新RFR(Risk Free Rate)の差が決定し、言わば二つのレートの交換レートが決まったということである。

つまりLIBOR = RFR + spreadという計算になり、この数字は過去5年の中央値から簡単に計算できるし、情報ベンダーの端末から得ることもできる。このスプレッド調整を巡っては、過去にもこうしたアナウンスが市場を動かしたことがあったが、今回は3月にはアナウンスがあることがある程度予想されていたこともあり、特に大きなマーケットインパクトはなかった。それでもLIBOR-OISのマーケットは、昨日の夕方は神経質な動きを見せたようだ。

3m GBPの場合はスプレッドが11.93bp、6mだと25.66bp、ドルはそれぞれ26.16bp、42.83bpと報じられている。ドルの3s6sベーシスは結構動いたようだ。

FRBのRandal Quarles氏からは、今後数か月当局は残ったTransiction Riskの管理を、企業がきちんと行うかに焦点を当てると述べている。TつまりLIBORからきちんと移行作業を行っているかを監督当局がモニタリングするということだ。

さらにFCAがJPYのSynthetic LIBORについて言及したのも興味深い。第二四半期に、1m、3m、6m JPY LIBORについて、Syntheticなレートを一年間使うことについての市中協議を行うとしている。日本の報道では、円について参考値の公表を1年間続ける仕組みを検討しているとされていた。仕組みの検討と言っているので誤りではないが、これはLIBORの公表が継続されるというよりは、RFRにスプレッドを乗せたSyntheticレートのことを言っているので、従来のLIBORの公表が継続されるという訳ではない。ただ、タフレガシー契約と言われる移行困難な商品が存在しているのは明らかであったので、これは望ましい結果と言えよう。

また、年末までにLIBORが指標性を喪失することはないというコメントもあったようで、年末まではLIBORが存続することが確認されたことになる。不確実性がなくなるという意味では歓迎だ。

これで特に海外では事前移行に弾みがつくことが予想される。日本の場合はもう少し様子見の期間が続くだろうが、夏からは急速に移行が進むことになるだろう。