LCHがLIBOR移行によって生じたフォールバックスワップについての扱いについて市中協議を行っていると報じられている。
単純にLIBOR移行後のRFR(リスクフリーレート)スワップと言っても、将来的には二つの異なるスワップが発生してしまう。レート自体は同じなのだが、計算時期等に数日のズレが発生するため完全には一致しない。リスク量はほぼ変わらないのに、キャッシュフローのタイミングが異なるので、コンプレッションもできない。
日本円スワップだと、ISDAのFallback文言によって発生したスワップはFallback Rate TONA、既に存在する標準的なスワップはStandard TONAと呼ばれることがある。フォールバックレートTONAと標準TONAの二種類が存在してしまうと、流動性が分断され、コンプレッションができず、CCP参加者のデフォルト時にはオークションで異なるスワップを処分しなければならない。
LCHの提案は、Fallbackによって生じたスワップが発生した瞬間にそれをStandardなRFRスワップに自動変換してしまうというものだ。個人的にはFallbackスワップができてしまった後期限を切って標準スワップに変換することになるかと思っていたのだが、もしオペレーション的に可能なのであれば、LCHの提案のように一気にやってしまった方がClear-cutである。
そもそもFallbackによって生じたスワップは、一時的に発生してしまったスワップであり、長らく存在させるべきものではない。複数種類のスワップを清算可能としてしまうと、市場参加者の中にはFallbackスワップを新規で取引したいという人が出てきてしまうかもしれない。LIBOR移行後の標準的スワップはFallback Rate TONAだと思っている人もいるからだ。
この提案に驚いた市場参加者もいるようだが、よくよく考えるとこの方がすっきりすることに皆気づくのではないだろうか。おそらく多くの参加者の支持を得て、提案通りに決まることになるのだろう。
そうなるとLCHと他のCCPでやり方が異なるのも問題なので、円も含めて世界的にLCHのやり方が標準になっていくものと思われる。