G30の連銀窓口貸出改革提案

前ニューヨーク連銀総裁のWilliam Dudley氏を中心としたGroup of 30から、銀行破綻時の最後の貸し手機能の改善策についてのレポートが出ている。最後の貸し手とは、Lender of last resortの訳だが、頭文字をとってLoLRと呼ばれている。SVBが連銀のDiscount Windowに迅速にアクセスできずに破綻したことは別記事に書いたが、これを防ぐため、事前に担保拠出をしてはどうかという提案がメインとなっている。

確かにこの方法であれば、担保拠出などの手続きに時間がかかって資金が得られないという事態は避けることができる。また、普段からリスクに応じて担保を積み増すことになるので、SVBのように大きなリスクを抱える前に、何らかのストップがかけられた可能性もある。

その他、貸し出しのコスト引き下げ、ローンの期間延長、Discount Windowの利用を24/7にするという提案も含まれている。24/7とは24時間7日間ということで、つまり、365日いつでも利用可能ということになる。

当然預金保険の対象拡大や、LCRのパラメーター変更なども議論されているが、担保の事前拠出の方が効果が大きいと主張している。

米国債のクリアリング義務化の方向性も決まったばかりだが、レポについては、相対からクリアリングに移行すれば、カウンターパーティーリスクが少なくなり必要担保も減る。もしかしたら、これでクリアリングへのインセンティブを上げようということなのかもしれない。

また、リスクが増えた時に迅速に担保を動かす必要があるため、連銀サイドでのシステム変更も必要になる。そして、連銀が対応すれば、すべての金融機関に対してもシステムの高度化プレッシャーが強くかかってくることになる。金融がますます装置産業化していく中、日本でもそろそろシステムコストを渋らず、思い切った投資をしていく必要性が高まっている。