日本の金融国際化へ向けた動きが加速し始めた

経済諮問会議の第5回の会議結果が公表されているが、かなり具体的な内容に踏み込んでいる。金融に関しては、「海外からの人材・資金を呼び込むためのアクションプラン」が添付資料として掲載されている。戦略分野への投資促進、スタートアップハブ形成、高度外国人材の呼び込みなどが謳われている。

金融に関しては、国際金融センターとしての機能強化や高度人材や資金の呼び込みがメインだが、特別にタスクフォースを創設し、不断の努力を続けていく方向性になっている。

これまでは、中国経済の急成長から、香港や上海にアジア拠点を作る動きが中心だったが、ここへ来て政治的リスクを重視し、拠点を中国以外に移そうという意見もちらほら聞かれるようになってきた。当然シンガポールが最大の候補なのだが、日本の安定性を見直す動きも見られ始めている。これまで何度も掛け声だけにとどまっていた日本の国際金融都市構想を推し進める最後のチャンスになるかもしれない。

Brexitによって英国からEUへ拠点を移す動きが加速し始め、香港もかつてほどの勢いがなくなってきた。相変わらずNYの一人勝ちは変わらないが、シンガポールの他にもっと日本が見直されても良いと思う。外国語による授業の充実も謳われているが、やはり金融業界にいると英語は不可欠と言わざるを得ない。現時点では、シンガポール、韓国、インド、マレーシアなど、英語に問題のないアジア系が、グローバル銀行でもかなりの地位を占めるようになっている。残念ながら日本人の幹部級はあまりに少ない。

これについては、今10歳前後の世代から思い切った教育を施せば、10年後にはかなり大きな動きになることから、ある程度の即効性がある。コストは高いがインターナショナルスクールが急速に増えているのも朗報だ。本年度中にAIを活用した新たな翻訳システムを確立し来年度に本格導入というプランも含まれているが、こうした技術進歩も日本にとっては追い風になる。

資本コストや株価を意識した経営についても触れられているが、日本企業が本気でROE向上を目指せば、日本株にはアップサイドが見込まれるし、自然と海外投資も入ってくるだろう。

金融庁の国際金融センター構想も着実に成果を上げつつあり、拠点開設サポートオフィスの機能、体制強化も提案されている。どこまでできるか不明だが、税についても「国際金融センターに向けた税制上の課題の把握については、クロスボーダー投資の活性化に係る手続面の課題の把握をはじめとして、必要な見直しに向けた対応を行う。」と書かれている。

せっかくここまで機運が盛り上がってきたので、ここは一気に英国のビッグバンのような改革に持っていければ日本の未来も明るい。アジアが今後世界経済のメインセンターになる可能性は極めて高いため、その流れを日本でもCaptureするためには、今が最も大事な時期と言えよう。