LIBOR移行の今後の予定

ISDAのガイダンスから、備忘録的に今後のスケジュールを記載しておく。

LIBORの種類最終公表日Index Cessation Effective Dateスプレッド調整決定日Synthetic LIBORの使用可能期間(案)
EUR LIBOR2021/12/312022/1/12021/3/5なし
GBP LIBOR2021/12/312022/1/12021/3/52022/1/1 –
(1,3,6month)
JPY LIBOR2021/12/312022/1/12021/3/52022/1/1 -2022/12/31
(1,3,6month)
USD LIBOR
(O/N, 12m)
2023/6/302023/7/12021/3/5なし
USD LIBOR
(1w, 2m)
2021/12/31
その後2023/6/30まで線形補間
2023/7/12021/3/5なし
USD LIBOR
(1,3,6m)
2023/6/302023/7/12021/3/52023/7/1 –

こうしてみると通貨ごとに少し扱いが異なるのがよく分かる。GBPについてはもともとSynthetic LIBORの議論がされていたので驚きはないが、来年以降もSynthetic LIBORが使える形になっており、現行の案だと期限が明示されていない。EURについてはそもそもSyntheticレートは必要ないという判断になっている。円についてはSynthetic LIBORの検討はされるものの1年以内と期限を区切っている。

USDは18か月延長があったため、Index Cessation Effective Dateはすべて2023/7/1となっているが、1, 3, 6monthについては、その後もSynthetic LIBORでの対応となり、こちらも期限は明示されていない。1 weekと2monthについては、基本的に他の通貨と同じように年末までの命だが、その後近接するテナーのレートから補間して計算されるため、Index Cessation Effective Dateは2022/1/1ではなく、2023/7/1ということになる。Synthetic LIBORの期限についてはGBPと同じように明示されていない。

日本円についてもSynthetic LIBORの可能性を検討する余地が残されたのは歓迎されるが、なぜ日本だけが1年の期限付の提案となったのだろう。まあ確かに永遠にSynthetic LIBORに頼るということだと、日本の場合移行が進まなくなってしまうので、その方が良いのかもしれないが。

買い控えの反動により経済回復が加速する

感染拡大を受けたロックダウンにより増えた貯蓄額が、主要国で2.9兆ドルに上り、一旦これが消費に回ると経済回復が加速するという分析が報道されている。そのうち半分くらいは米国だが、日本も10%近い32.6兆円くらいと推計されている。

確かに自分の行動を振り返ってみても、旅行や外食を一切せず、特に大型の買い物をしようという気もなかった。使うものがないので株式投資に回したという人も米国では特に多かったようだ。そうなると飲食、旅行、スポーツ観戦やコンサートなどのイベントに戻ってくる資金はかなりあるだろう。

そうなると米国の経済成長率は現在の予想の4.6%から倍の9%になるとの分析だ。当然コロナの時期に増えた負債返済に回す動きもあるだろうが、米国に比べると日本ではこの影響は少なそうだ。米国ですら家計負債総額はそれほど増えていないというデータもある。この点ではリーマンショック時とは全く異なる。欧州でも貯蓄額の上昇がみられる。フランスなどではロックダウン解除後にすぐに飲食に対する消費が急増したという経験もある。

そのうち巨額増税があるだろうが、しばらくは各国政府も経済支援を続けるだろうから、それまでは少し時間があると思われる。あとは、失業率とインフレ懸念だが、雇用に関しては明るい兆しが見えつつある。

ここまで思い切った政府支出が正当化されるとなると、今後は、何らかの危機があった時の方が株式等の資産価格が上昇し、何もない時の方が株価上昇のペースが抑えられるということになるのかもしれない。