米上院選ジョージアの2議席を民主党がともに獲得したことにより、上院は民主共和で50/50となった。これにより積極的な財政政策が打てるということで、米10年金利は1%を超えるところまで上昇した。多くの市場参加者が予想した通りイールドカーブのスティープニングは加速し、5y30yは2016年以来の幅に広がっている。
インフレ期待も高まり、インフレの指標に使われる10年のBreakevenは一気に2%を超えた。このような金利のベアスティープニングを予想する投資家は多かったので、恩恵を受けたヘッジファンドも多いのではないだろうか。そして、国債増発が既定路線となり、このトレンドはしばらく続くとの予想がマーケットコンセンサスとなっている。
とは言え、日本だって国債増発を続けてきても金利はずっと下がってきた。日銀が国債を吸収したというのもあるが、最近では他の国でも国債増発が金利上昇につながるという証拠はない。国の債務を増やしてもお金を擦り続ければ、結局は金利が低くても債券に資金が回り、金利上昇が抑えられる。例えば、金利が1%でもあれば日本や欧州の機関投資家からすると、魅力的な水準に見えるだろう。
米国でも国債購入を減らすテーパーリングが懸念されているが、実際は既に購入額は減少傾向にある。購入額を増やせば金利上昇を抑えることは可能だろう。
また、特に日本のケースがそうなのだが、金利が上がってしまうと、国債の利払い費用が大きくなってしまう。財政破綻を避けるためにも金利はある程度低位安定を続けた方が政策的には望ましい。
こうした状況を総合すると、このまま金利が一方方向に上がっていくとは考えにくいと思ってしまうのは、自分が日本にいるからなのだろうか。米国のみが突出して2%、3%のような金利上昇を続けていくとはとても思えない。まずはせいぜい1.25%を目指すだろうが、その後1.5%を超えていくかは個人的には疑問である。