現在のワクチンはEUA(Emergency Use Authorization)による承認で正式承認ではなく義務化は難しいが、実際にイスラエルでは一部娯楽施設の入場に証明書が必要になっている。米国でも証明書を提示すればドーナッツがもらえるとか各種割引を提供する店が出始めている。レストランなどでも、ワクチン接種をしない従業員には接客をさせないというバーが出てきて議論になっている。ワクチン接種に金銭的インセンティブを与えるという企業もある。
この過程では、TONA vs USDLIBORという通貨スワップができることになる。Risk.netの記事では、このようなスワップは、単にもう一種類のベーシスが生まれるだけで、トレーダーとしては特に問題ないというコメントが紹介されていたが、それでもやはり厄介だ。やはり事前にTONA vs SOFRのスワップに一度に変えてしまう方が、オペレーション的にもリスク管理上も簡単である。
マーケットでは、TONA vs SOFRの通貨スワップやTONAベースのSwaptionなどの取引もちらほら見られはじめ、いよいよ移行が本格化する。とは言え、この段階になってもシステム、オペレーション的に準備ができていないところもあるだろうから、一旦TIBORに流れる動きもあるかもしれない。ひょっとしたらTORFに期待していたのかもしれないが、今年中にTORFの流動性が急速に上がるとは個人的には思っていない。早急にOISスワップに移行すべきだろう。
変換に際しては元のLIBORスワップと同じRoll dateと計算期間を保ちたいとしている。また、3s6sのようなベーシススワップについては、3month OISと6month OISのようなスワップに変換するのではなく、3m OIS vs 固定金利、6m OIS vs 固定の二つのスワップに分けるとのことだ。この方がコンプレッションがやりやすいからなのかもしれない。
2021年12月31日以前にCHF、GBP、JPY、USD LIBOR取引をRFRにコンバートする予定となっており、他のCCPと概ね同じようなやり方になりそうだ。RFRは当初のLIBORスワップと同じ計算期間(Observation Period)で決済日が後ろにずれる標準RFR取引となり、ISDAのFallbackで発生するスワップのようなObservation Period Shiftがない。
変換時のスプレッドは、過去5年間のヒストリカルスプレッドの中央値で、価値評価がずれる場合は現金受け渡しによって決済する。ただし、LIBOR vs LIBORのベーシススワップについては、コンバージョンをせずに現金決済をするとある。つまり3か月LIBORと6か月LIBORのような取引は3m RFRと6m RFRのベーシススワップに変えるのではなく、そのまま解約する方法を導入するということのようだ。