会計上のCVA開示基準変更

後10日ほどであるが、2021/4/1より「時価の算定に関する会計基準」が導入される。金融機関においては、CVA算出をはじめとした各種対応が進んでいると思われる。日本においては、デリバティブ取引の相手先によって厳密には時価を変える必要がなかったが、これが大きい場合は何らかの形で財務諸表に開示する必要が出てくる。個人的にもようやくここまで来たかと感慨深いものがある。

これらの基準や則を読んでもCVAという言葉すら出てこないのでわかりにくいが、企業会計基準適用指針第19号(2011年3月改正)からの改正点(開示例)を見るとデリバティブ取引の評価技法の説明のところに以下のような文言が例示されている。

「取引相手の信用リスク及び当社自身の信用リスクに基づく価格調整を行っている。」

取引相手の信用リスクに基づく価格調整がCVA、当社自身の信用リスクに基づく価格調整がDVAということになるのだろう。そのままCVAとかDVAと書いてくれれば分かりやすいのだが、ざっと見る限りこれら一連の基準の中にCVAという言葉は出てこないように見える。

当然金融商品の時価について幅広くカバーされているもので、CVAにフォーカスしたものではないので仕方ないが、あまり目立たず残念な気分だ。

いずれにしてもこうしたカウンターパーティーリスクが正式に価格調整に含まれる慣行が広がるのは望ましいことである。今後の各企業のディスクロージャーの仕方に注目したい。