USDLIBORの公表停止の6月末がが近づいてきた。2021年12月に円金利スワップで行ったようなConversion手続きの準備が佳境を迎えている。今回は米国が中心なので、外資系の場合は米国チームが中心になって作業を進めてくれているが、日本の市場参加者は日本で陣頭指揮を執っているのだろう。
JSCCやLCHで行ったような取引の変換作業は、一部別日程に分けるものもあるが、メインはCMEが4月の22-23日の週末、LCHが5月の20-21の週末となる。他の通貨はほぼ1から2週間差だったと記憶しているので、1か月の間隔は長いように思えるが、おそらく件数が膨大になり作業に不安を抱えた市場参加者の希望もあったのだろう。
一か月間はCMEではSOFRスワップ、LCHではLIBORスワップが残る形になる。リスク管理者としては、どのようにレポートされるか頭の痛い問題である。この間の資本計算、各種当局報告、リスクリミットの使用状況など、臨機応変な対応が求められる。
作業自体はCMEのドライランも終わり、他の通貨で経験を積んでいるので、滞りなく行われることが予想される。CMEが約4.5兆ドル、LCHが$70超ドル程度と報じられていたが、自発的な変換や満期を迎える取引もあるだろうから、実際の件数はもう少し少なくなる。それでも英ボンドの金利スワップの時の3倍を超える量になる。
変換といってもLIBORスワップがSOFRスワップに変換されるだけではなく、実際は短期のLIBORスタブをカバーするスワップとメインのSOFRスワップに分かれる。時価調整のためにスワップを作るケースもあるので、一つの取引が2つ乃至3つに分かれることになる。この辺りはこれまでの経験とユーザーの要望により若干方式を変えているようである。確かにいきなりUSDの変換だと混乱が生じていたかもしれないが、ポンドや円の変換作業の経験があるので、何となく安心感が漂っている。
あとはターム物SOFRや先物など、BSBYなどのクレジットセンシティブレートなど、今後のドル金利市場がどのように変化していくかに注目が集まる。円についてもTFXとOSEの二つの先物が上場されるが、TORFの使用、TIBOR改革と今後の動向にも注意が必要だ。いずれにしても、思ったよりスムーズにLIBOR移行が進んだのは、当局や市場参加者の努力の賜物だろう。