JSDAの2024年2月末のNISA口座開設・利用状況が公開された。新NISAが始まりどの程度の資金が流れてきているのか関心が集まっていたが、確かに口座開設、買付額ともに大きく伸びている。
証券会社10社(大手5社、ネット証券5社)を通じた買付額は、1月と2月の2カ月で3.5兆円に上っている。昨年末までのNISAの累計買付額が36.7兆円だったことを考えると、発足2カ月で10%近く増加というのは上々のスタートと言えよう。
内訳をみると、うち85%が成長投資枠で15%が積み立て投資枠となっている。そして、成長投資枠の買付額のうち59%が株式に流れており、何とその91%が国内株とのことだ。
新NISA発足当初は、資金が海外に流れ円安要因になるなどと言う意見が多く聞かれたが、ふたを開けてみると意外と国内株式へと資金が流れている様子がうかがえる。
投資初心者の若年層が入ってくることを考えると、全米インデックスやオルカンなどが増えるという予想が多かったのだが、おそらくこうした買付は金額的には小さかったのだろう。むしろ、投資歴の長いベテラン投資家が枠を使いきるべく一気に買い付けたということなのではないだろうか。
昨年末の資金循環統計を見ると、株式等、債務証券、投資信託で410兆円の残高があり、全体に占める割合は、19%となっている。このうちNISAが35兆円程度で、1月2月のペースが続けばNISA全体が倍の70兆円になることになる。今後はスタートダッシュが若干息切れすることにより、おそらくこれよりは少なくなるだろうが、仮に減速しなかったとしても、全体の割合は19%から21%への上昇にとどまる。
そう考えると、急速に預金から投資への流れるというよりは、数年をかけて徐々に変化が起きていくことになる。しかし、周りで見ても若者のNISA参入が目立っており、今後は確かに投資への流れが加速していきそうな雰囲気はある。引き続き資金の流れの変化に注目が集まる。