先週木曜に、英国のCCPがBrexit後にEUの投資家にアクセスを保てるかは6月までに決めたいとのコメントがESMAから出された。英国がEUの規則をほぼキープしたとしても自動的にアクセスが引き続き与えられる訳ではないという態度は依然変わっていない。
1月31日に英国がEU離脱をしても経過措置は12月末まで続くはずだが、その後の運用については不透明性が残る。LCH等が引き続きEU顧客にサービス提供を続けられるかどうかは英国ルールがEUと同等かどうかがキーになるが、これも6月までに分析を終えるようだ。
色々と警告が出されているものの当局同士が市場の分断を避けたいと思っているのは確実であり、おそらく大きな混乱なく移行が進むのではないかと思う。ただ、不測の事態に備えて巨額のコストをかけてEU域内のオペレーションを用意した金融機関にとっては、かなりの収益圧迫要因になっていることは間違いない。おそらく大丈夫とはいっても、準備を怠ると当局や取引相手からも信用されなくなるので、無駄とはわかっていても投資をせざるを得ない。
近年はこうしたコスト負担が大きくなっているように思う。ビジネスを存続させるためには致し方ないのかもしれないが、採算性を厳しく見ていくと一部のビジネス閉鎖という判断につながってもおかしくないところまで来ている。ただ、同時に参入障壁も高まっているので、今後は大手銀行が引き続き存続し、周辺ビジネスや一部のファンクションをスタートアップや小規模なベンダー等にアウトソースする姿が一般的になるのかもしれない。もちろんベンダー選定のプロセスも厳しくなっているので、何をやっても手間がかかるのは変わりないのだが。