CMEとFICCが米国債のクリアリングに関してクロスマージンの仕組みを見直すというニュースが出ている。もともとCMEはBrokerTecを運営するNex社を買収したことによって、米国債の清算進出を伺っていると数年前に騒がれた。CMEが国債とレポ取引を一体的に管理できるようになれば、国債、レポ、先物、スワップまでクロスマージンができるようになり、証拠金削減につながるので、米国債の流動性向上に資する可能性がある。
現状は国債と国債先物のクロスマージンにとどまっているが、商品が広がればマージンの削減効果も高くなる。米国債のクリアリング規制の話も出始めているが、米国債のCCPによる清算集中義務化が確定すれば、このクロスマージンは極めて重要になる。
一時はCMEがDTCCの牙城を切り崩すかと思ったのだが、両者が強調するような方向に進んでいる。提案では、各CCPがクロスマージンの証拠金削減効果を計算し、より保守的な方の数字を採用するということのようだ。既に株式オプションでOCCとCMEが実現している方式に近い。今年中に局承認までもっていきたいとのことなので、かなり検討が進んでいる模様だ。
レバレッジ比率規制の見直しをしている最中にこのニュースが出るということは、米国債の清算集中義務付けや米国債の流動性向上策の一環としてこれが出てきているとも勘繰りたくなる。確かに、銀行のバランスシート制約によって米国債の流動性問題が発生したので、清算集中によってバランスシートインパクトを軽減するという方式であれば規制緩和に反対している政治家も説得しやすい。
日本でもIRSと国債先物のクロスマージンが行われているが、すべてJSCCの中で行えるため、複数CCPが絡む米国よりはハードルが低い。国債、レポを含めたクロスマージン制度の充実を今のうちから検討しておいた方が良いのかもしれない。