LIBOR取引に対するペナルティチャージがかかり始める

CCPで清算された取引について、12月にLIBORからOISへの一括変換作業が行われるが、当局のガイダンスにもある通り、事前に変換が行われることが望ましい。LCHでは、ペナルティという言い方はしていないものの、残ってしまっているLIBOR Swapに実質的には手数料をかけることになっている。大分前から話は出ていたので、事前変換はMUSTだと思っていたのだが、関係者と話をしてみると、このフィーに気づいていない人が多いようで気になった。

詳細はLCHのWebサイトを参照頂きたいが、フォールバックフィーとコンバージョンフィーという二つの手数料によって早期移行を促す仕組みとなっている。フォールバックフィーは、残存LIBOR Swapにかかるもので、コンバージョンフィーは12月の一括変換時にかかるフィーである。

フォールバックフィーは、LIBOR Swapの件数によってチャージされるが、重要なのはこれが毎月取られるという点である。18か月の延長のあったUSD LIBORは除外されているが、JPY、GBP、EUR、CHFについては9月末から一件5ポンドのフィーが取られる。

日本では、面倒なので最後まで待とうという声も聞かれるが、12月に変換作業を行うスワップが多いとオペレーションリスクがあるうえ、こうしたフィーによる収益インパクトもある。CCPで清算された取引については、コンプレッション/Risk Transformationがメインの削減方法になるので、来月以降できるだけ多くの参加者がTriOptimaとQuantileのRunに参加し、Risk Torelenceを上げてLIBOR取引の削減に努める必要がある。

ちなみにこの手数料は直接参加者である銀行のみならずクライアントクリアリングのポジションにも適用される。12月に適用されるコンバージョンフィーについてはまだ開示されていないものと思われるが、早期コンバージョンのインセンティブ付のために、高い水準に設定されたとしても不思議ではない。

LCHがこうしたフィーを導入しているということはJSCCなど他のCCPが追随したとしても不思議ではない。コンプレッションの参加者は特に日本では限定的かもしれないが、今後はこうしたコンプレッションRunに積極的に参加することも重要になる。まずはLIBOR Swapの件数を調べてコストを計算してみるべきだ。わずかなbid offerやブローカーコストに注意を払うトレーダーが、単に手間だからと言ってコンプレッションに参加しないというのは本末転倒である。いや。トレーダーというよりは、資本、ファンディング、証拠金、クリアリングにかかるコストに対して注意を払う部門が必要なのかもしれない。

システム的、オペレーション的に手作業が多く消極的な参加者も多いようだが、海外ではほぼ自動化が進み、通用作業の一つになっている。こうした点でも後れを取らないようにしないと、証拠金負担、資本賦課によって収益性、ROEにおいても海外に後れを取ることになる。これに気づいているクライアントクリアリングの参加者は少ないのではないかと思うが、顧客サイドも早めに準備をした方が良いのではないだろうか。