Quoting Convention変更のインパクト

CFTCから6/8に公表されたインターバンクのQuoting Convention変更に関するアナウンスメントが注目を集めた。関連する基調講演及びFAQも参照頂きたい。

GBPでは昨年スワップ等の線形商品、5月にはスワップションなどの非線形商品についてのConvention変更が行われたが、ドルについては7/26にLIBORからSOFRにQuoteの慣行を変更することになる。日本についても来月同様の変更が予定されている。

これはベストプラクティスで罰則がある訳ではないのだが、マーケットでは極力これに従う方向になるだろう。余談だが、海外では昔からベストプラクティスガイダンスというものが多く、市場参加者はできる限りこれに従ってきた。日本ではあまり聞かれない慣行で、単なるガイドラインで罰則規定がないなら関係ないのではないかという意見も聞かれることがあるが、海外の市場慣行はこうしたベストプラクティスで動くことが多い。法律ではないので、たとえ市場慣行が変わらず方針変換をしたとしても、法律の書き換えは必要ないため使い勝手が良い。

さて、7/26よりディーラー間ではLIBORよりもSOFRを優先させるということだが、イメージがつかみにくい。具体的には、7/26以降ディーラー間では、LIBOR Swapの代わりにSOFR Swapを提示して取引をすることになる。しかもLIBOR Swapの画面は情報提供目的のみとなり、10/22以降はその画面が完全に消えることになる。

CFTCのアナウンスに従えば、すべての取引、アウトライトおよびベーシス・スワップは、SOFRを中心に行われることになる。 ここで、LIBORはSOFRのベーシスとしてアクセス可能となると書かれている。つまり、LIBOR Swapをやりたいと言われたら、固定 vs LIBORのスワップを行うわけではなく、まずは固定 vs SOFRのスワップを行い、SOFR vs LIBORのベーシススワップを入れることになる。Notionalが二倍になるので資本賦課の点でも不利になる。そして、10/22以降は、LIBORの画面が完全に消える。

もともとLIBORの画面もOISの画面も両方あるから、7月以降何が変わるかよく分からないという声もあるが、取引の仕方が、固定 vs LIBORではなくOISを挟んだ二つのスワップになるとすると、やはり移行の機運は高まるのではないかと思う。