予想通り、今週水曜4/10に、リサーチアンバンドリング撤廃案が英国当局から公表された。金融の細かい規制については日本の新聞ではあまり詳細に報じられないが、この件だけは、比較的日本の新聞でも記事として扱われる。
市中協議を経て今年前半には最終化される予定だ。英国が撤廃を決めたことで、おそらく欧州も同様の方向に進むだろう。そもそもこの規制は2018年に欧州MiFID IIによって導入された規制だが、当初はリサーチにかかる費用の透明性向上のために、リサーチの料金を取引で賄うことが禁じられた。
以前は営業が顧客サービスの一環として、リサーチレポートを持参して顧客訪問をして、実際の取引に結びつけるというのが一般的な慣行だった。こうしたリサーチレポートは無料で配られていたが、これに価格をつけるとなると、顧客サイドからは、コストを払ってまで入手したいものではないという意見が出て、結局はレポートが減ってしまった。
特に、単独でレポートを購入したいというニーズが少ない小型株などについてはレポート自体がなくなることも多かった。結局はリサーチのカバレッジが減り、リサーチ業界の縮小を招き、必要な情報が投資家に届きにくくなるという弊害が生じた。その意味では、このアンバンドリング禁止令の撤廃は、業界にとって望ましい変更といえよう。
そもそも規制導入当初は、なぜこの規制が透明性向上につながるのかよくわからなかった。日本でも、欧州の事業主体が関わる場合、欧州の会社のレポートを配る場合は、規制対象になるのではないかという混乱が生じた。そのうち、日本でもリサーチペーパーをプリントアウトして持参してはいけない、レポートをメールで送信してはならないといった、数々の制約が生まれた。各種情報提供をすることによって顧客関係を構築し、取引に結び付けるというのはどこの業界でも行われていることであり、金融業界でも、リサーチでなく、単なる個人的見解なら良いのではないかと、かなりの混乱を招いた。
6年は長かったが、ようやく無駄なプロセスが省略できるのは望ましいことである。これで、中小小型株などのリサーチカバレッジが復活して欲しいものである。