英国当局のFCAがCMEのターム物SOFRをUSDシンセティックLIBORの指標として使うことを推奨した。既にICEもUSDのターム物SOFRを4月から公表していたので、ライバルでもあるCMEのターム物SOFRを認めるというのは異例のことのようにも思えるが、さすがにARRCがCMEのターム物SOFRをサポートしている以上止む無しといったところなのだろう。CMEのターム物SOFRのインプットとなっているSOFR先物の取引量が思った以上に伸びているのも心強い。市場分断が起きることを懸念して一つの指標に絞ったというコメントも出されている。
使用期限は2024年9月となっているので、LIBOR公表停止の来年6月から1年3か月後ということになる。日本円のシンセティックLIBORは1年の期限だったと思うので、今月で使えなくなるが、一部を除いてあまり話題になっていない。気づかずにそのままになっている契約もあるのかもしれないが、ほとんどの銀行は当然期限を意識しながら準備をしてきたので、ほぼ問題はないだろう。英国ポンドの方は少し期限が長いが、1か月物と6か月物が来年3月、3か月物が2024年3月までとなっている。
USDシンセティックLIBORについては、今後10年間にわたり毎年期限を延長するオプションがついているが、この調子だと延長なく移行が完了する可能性が高いものと思われる。
それにしても日本ではターム物や先物の議論が盛り上がらない。このままでは、いずれも必要なしとなってもおかしくない程の進捗状況だ。TONA先物については、TFXが来年1月-3月の間に上場予定で、OSEは来年5月末の上場を予定している。
OSEに寄せられたパブリックコメントの内容が先週公開されたが、流動性が低い中複数の商品が上場することに対する懸念も寄せられている。確かに、市場分断が起きることを懸念して一つの指標に絞った冒頭英国のような例はあまり日本では見られない。日本では、金融のみならず、ニーズの応えるべく多くの商品をそろえる傾向があり、あまり標準化に重きが置かれない文化があるように思う。LCHなどのでも、極力流動性を集中させるために標準化したというコメントが聞かれるが、日本ではより多くのお客様のニーズに応えるために対象商品を拡げたというコメントが良く聞かれる。
一旦取引量が増えればそこそこ取引されるかもしれないが、今のところ高い期待は感じられない。金利も動くようになってきたことから今後の進展に期待したい。