今年3月にFICCのSponsored repoのメンバー基準が緩和されたこともあり、FICCが米国レポ市場に占める割合が着実に拡大している。
そもそもSLRの影響で米系はレポ市場におけるプレゼンスを格段に落としているのは既に紹介した通りだが、このSponsored repoを使えば、MMF等の資金の出し手と行うレポと、反対方向のヘッジファンド等と行うリバースレポがネットできるため、バランスシートを使うことなく取引ができることになる。いわばレバレッジ比率規制がその拡大を促した仕組みと言えるだろう。
Sponsored repoは、OTCのクライアントクリアリングのようなものと捉えるとわかりやすいかもしれない。クリアリングブローカーたるSponsoring Memberが顧客のためにCCPで取引を清算することにより、実際の取引はすべてFICCを通したものとなり、オフセットする取引のネッティングが可能になる。このためレポ取引の最大の取引主体はFICCということになっている。
このSponsor Bankが少数の銀行に集中してしまっていることが、9月17日のレポレートの急騰を招く一要因となったと言われてもいるが、直近になってSponsor Bankの数が増え続けているようだ。
これまでは、四半期末が近づくと欧州銀行がバランスシートを縮小させることによりレポ市場が逼迫し、それをFEDが補うという形が続いていたが、欧州系がBaselのWindow Dressingとの批判を受けて四半期末のみにバランスシートを縮小する慣行を諦めつつあるように思えるため、こうなるとやはりSponsored repoに対する期待は高まる。またEBAのストレステストの変更も欧州系の行動に影響を与えることになるだろう。
レバレッジ比率規制の緩和は見込みにくいことから、今後もこの傾向には拍車がかかると思われ、ほとんどがFICC経由になる日も近いのかもしれない。Sponsored repoを使う場合とそうでない場合の資本コストの差はあまりにも大きいので、米国債投資を行う日本の投資家も早めに準備を進めていくことが必要だろう。