LIBOR移行に関するLCHの市中協議

LCHのLIBOR移行プランについての問い合わせが増えてきた。とは言え、現在行われている市中協議の詳細は、自分の知る限り公開されていないと思うので、ここで書くことはできないが、いくつか新聞報道やLCHのコメントから分かっている内容をまとめてみる。

まずは昨日1/15のBloombergの記事によると、本年末を控えたLIBORの公表停止前にLIBORから新レートへの切り替えを行うことについての意見募集と書かれている。この切り替えによって生じた損益はCCPを通じてやり取りするという案になっている。CMEも同様の意見募集を14日の木曜日に始めたとある。

別途Risk.netにも書かれていたが、スワップの切り替えの際に、ISDAプロトコルに基づくFallback Rate RFRに変更されるのではなく、マーケットスタンダードである、標準的RFRスワップに変更するというのが、今回の意見募集の趣旨である。

この二つのスワップを仮にStandard OISとFallback Rate OISと呼ぶことにすると、条件はほぼ同じだが、少しだけ性質が異なる二種類のスワップがCCPに存在してしまう。こうなると、流動性が分断され、参加者破綻時などにオークションを掛ける際も面倒なことになり、リスク管理上も望ましくない。その後のコンプレッションや解約のハードルも上がる。

特にFallback Rate OISは、Fallback発生時には一瞬取引量が増えるが、その後も継続的に取引が行われる可能性は低く、普通に考えればStandard OISにシフトしていくことになる。当然流動性がなくなれば、クローズアウト時のコストも大きくなるため、当初証拠金所要額も上げざるを得ない。

一時的にFallback Rate OISをクリアリングしても良いが、どうせ使われなくなるのであれば、Fallback Rate TONAができた瞬間にStandard TONAに変換してしまえば、二種類のスワップが併存する状況は避けられる。

CCPとしては、なるべく多くの商品を清算してサービス向上を図りたいというニーズもあるだろうが、流動性向上のためにメインの商品に絞ってマーケットスタンダードを作っていくという視点が求められると思う。その意味ではLCHの提案は個人的には賛成である。おそらく市中協議でも市場参加者からの支持が得られるのではないかと思われる。