LIBOR移行が遅れることによるペナルティ

英国中銀が中銀貸出の担保にLIBOR参照資産を使っている場合はヘアカットを上げるというアナウンスをした。これまでは、移行を促すコメントが主体で、実際の取引に影響のある目立った施策はなかったが、これにより、コストに影響が出始めるため、更に英国での移行が加速することになることは間違いない。

担保のヘアカットとは、通常その担保の信用力が低いから、担保価格の変動が大きいからという理由で、例えば100円の担保を出したとしても90円しか借りられないというもので、この例では10%のヘアカットが適用されているということなる。ISDAの世界で言うValuation Percentageと同じだが、Haircut=1-Valuation %となる。通常このヘアカットは、2週間99%といったVaRの計算等によって求めているところが多いものと思われる。日銀担保にもこの価格が適格担保要領で定められており、JGB担保にも一定のヘアカットが適用されている。

以下の様に記載されている為、10月1日以降にLIBOR参照担保を使う場合は通常のヘアカットに10%を足して担保価値を計算することになる。その後来年の6月1日以降はこれが40%、来年末以降は100%、つまり無価値ということになる。

The haircut add-on will be 10 percentage points from 1 October 2020, 40 percentage points from 1 June 2021 and 100 percentage points from 31 December 2021. For the avoidance of doubt, haircuts will be capped at 100 percent.

早く移行を促すコメントを出し続けるよりは、このようなコストに影響を与える変更は本当に効果があると思う。ほかにもLIBOR参照商品の多い銀行に対してはそれに応じて資本賦課をかける等、様々な手法が考えられるが、今後は口先介入から具体策に移っていくのだろう。日本でも同じことをする可能性はあるが、日本の場合は通常の当局検査でも一定の効果が出るものと思われる。

コメントを残す