LIBOR改革後には管理しなければならないベーシスリスクが多くなる?

LIBORからの移行がなかなか進まない。一言にLIBORからSOFRに移行するといってもマーケットによってそのSOFRの計算方法が異なることが混乱に拍車をかけている。シンジケートローンは単利、スワップは後決め複利、住宅ローンは前決め複利だったりと様々なレートになっていて、ヘッジやリスク管理も難しくなっている。LIBOR一つだった時とはかなりの違いだ。

フォワードルッキングなターム物SOFRに対する期待も高まるが、現状のSOFRリンクデリバティブの取引量を見ると、来年前半まではあまり拡がっていくとは思えない。まずはSOFRリンクの米国債発行に期待が集まる。

スワップは後決め複利だが、これは過去3か月などの日々のSOFRを複利計算して金利を後で決めるという方法である。当初これが決まった時はほかの金利も追随するだろうと思ってしまったのだが、結局様々な計算方法が混在することになりそうだ。

ローンの場合、計算期間が終わってから金利が決まるという手法だと、繰上弁済が行われた時の金利を決めるのかといった問題がある。住宅ローンにおいても、今後3か月間の金利は今はわからないけど、3か月後に確定するという方法はなじみにくい。米国では金利が先に決まっていないと政府機関の適格ローンとならないという問題もある。

こうしたマーケットの声を総合すると、やはりターム物金利が最も求められているもののように思う。それが確立するまでのつなぎとして後決め複利があるが、米国債などで後決め複利の発行が増えていって市場参加者の抵抗感がなくなれば、これが存続するという可能性もあるかもしれない。

最終的にはターム物や後決め複利に収斂していくだろうから、ベーシスリスクは少なくなっていくと思われるが、信用コストを反映したローン金利、Tough Legacyの問題もあるので、しばらくの間は数多くの金利指標が併存することになるだろう。

こうした金利はおおむね同じように動くだろうが、ひとたび市場が混乱すると、そのベーシスが大きく開くこともあり得る。こうした市場混乱期にLIBOR移行によって損失が発生する市場参加者が相次いだということにならないよう、秩序ある移行が望まれる。

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