ISDA Margin Survey 2023

ISDAから昨年のマージンサーベイの結果が公表されている。これは、証拠金規制が最初に適用になったフェーズ1の大手ディーラー20社とフェーズ2の5社及びフェーズ3の7社の合計32社から得られた回答を元にまとめたものである。証拠金規制フェーズ6までが完全に終わった後のサーベイであるため、今後は、規制対象が拡大することによって証拠金が急拡大することはなくなる。

証拠金残高、特に当初証拠金は毎年増え続けており、2023年は前年比40%増の$432bnへと膨らんでいる。変動証拠金は13.5%減の$984bnで、合計では$1.4tnの証拠金となっている。

2012年のISDAの予測では、証拠金規制が完全導入されると市場から担保に必要な現金が吸い上げられ、マーケットインパクトも出てくることが懸念されていた。当時は必要担保額が$0.8tn、ストレス期で$4.1tnに増えると予想されていたが、実際2023年のIMは$0.4tnと予想の約半分となっている。今回のサーベイが32社に限定されていることを考えると実際市場で取られている当初証拠金は2012年の予想と近いのかもしれない。

一方で、昨今の金利変動やウクライナ情勢を受けたコモディティ価格の乱高下は、当時の想定を超えているように思えるので、実際は懸念したほど必要担保は増えなかったと言えるのかもしれない。

当初証拠金には主に国債が使われており、規制IM全体の72.7%を国債が占めている。これは受け取った担保をカストディアンに分別管理をする必要があるため、Title Transferで現金を受けるよりはSecurity Interestで国債を受ける方が、法的に簡単だからという理由がある。それでも2021年から若干現金が使われるようになっているのが興味深い。

また、Other Securitiesに分類される国債以外の担保が増えてきているのも最近の傾向である。10%代前半だったものが、2023年には、全体の25.2%まで上がってきている。数年前から社債を担保に出したいというニーズが高まってきていたが、それを裏付ける形となっている。

一方CCPに拠出する担保も年々増加傾向にあり、金利系で$332bn、CDSで$60bnとなっているが、最近は増加が少し頭打ちになっているようだが、クライアントクリアリング分は少しづつ増えているようである。

全般的に従来の金利スワップやCDSのような商品に関しては、証拠金規制のインパクトはほぼ落ち着いたように見える。あとは国債のクリアリング、新しく増え始めている為替商品のクリアリングによって、どれだけ担保が増えていくかに注目が移る。