FRTBの施行時期としては、欧米が2025年1月、日本が2024年3月と言われていたが、ここへきて、米国の施行時期が遅れるのではないかと言う憶測が出始めた。欧州は2015年1月から始まる決算期と言うことなので、実際の公表は2025年の第一四半期末である3月末時点から始まる。
日本の場合は、2024年3月から始まるが、G-SIBに分類されるメガバンクと大手証券会社から適用開始となり、地銀等は2025年3月まで猶予がある。
実は、香港が日本より早い2023年7月の適用開始なのだが、こちらは海外エンティティを使った取引がメインであるため、それほど大きな問題にはなっていない。日本の場合は、そこそこ国内ブッキングが多いので、おそらく世界で最初に大きな影響が出る国となるだろう。内容についても、日本はオリジナルのバーゼルの文言に従ったルールになる可能性が高いが、欧米などでは、資本負荷が軽減される方向に変更されることも多い。
メガバンクなどは、市場リスクよりも、信用リスク資本がメインだろうが、トレーディング比率の高い証券会社にはインパクトがあるかもしれない。
これまでの日本の対応を見ていると、標準的手法よりも内部モデル方式(IMA)を目指すところが多いものと推測される。また、当初はIMAだが、モデルの準備ができたビジネスからIMAに移行するという段階適応も考えられる。RWAの試算結果があまり公表されておらず、今のところクオンツ部門でのモデル構築にフォーカスが当たっている段階だと思うが、試算結果が出てくると、ビジネスへの影響を気にする意見が出てくることが予想される。そして標準法からIMAへの移行に向けたプレッシャーが高まるのだろう。
欧米の施行があまりに遅れたり、負担軽減を図るような変更が加えられる場合には、レベルプレーイングフィールドの確保のため、日本でもなんらかの考慮が必要になるかもしれない。